北は北海道から南は鹿児島県まで、全国約270店からなるトライアルグループの広大な店舗網を統括するトライアルカンパニー(福岡県)。グループ全体で進める「リテールDX」の取り組みの裏で、同社は近年、「生鮮強化」を重点戦略として推進。価格の安さだけでなく、生鮮食品や総菜の品質向上に心血を注いでいる。これまでの取り組みと、今後の成長戦略について、石橋亮太社長に聞いた。
生鮮強化戦略が結実 売上高は6000億円目前
──まずは、トライアルグループにおけるトライアルカンパニーの立ち位置や役割について教えてください。
石橋 前提としてトライアルグループの経営手法からお話しすると、「既存事業」と「新規事業」を4つのゾーンに分けてマネジメントする「ゾーンマネジメント」を基本戦略として取り入れています。
そのなかでトライアルカンパニーが担うのは、既存事業の1つである流通事業です。新規出店や既存店活性化を通して各エリアでのマーケットシェアを上げつつ、変化し続ける消費者ニーズに対応しながら新しい店舗のかたちを描こうと試行錯誤しています。
──ここ数年来のコロナ禍は、国内の小売業界にさまざまな影響をもたらしました。トライアルカンパニーの経営環境はどのような変化を見せていますか。
石橋 業績面でいうと、2022年6月期のトライアルカンパニーの売上高は5975億円(注:流通小売事業の売上高、速報値)で、6000億円を目前にしています。コロナ前から業績は伸び続けていましたが、感染状況が深刻化し始めてから、外出制限や内食需要の高まりといったことを背景に各店舗の数値が大きく伸び始めました。当社がKPI( 重要業績評価指数)の1つとしている既存店売上高成長率も、飛躍的に伸長しました。直近では行動制限が緩和されていることもあり伸び率は鈍化しましたが、それでも前年を上回る状況は続いています。
業績向上に寄与している要素としてはもう1つ、われわれがかねて取り組んできた生鮮強化の戦略がようやく実を結び始めたということがあります。
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