生鮮強化で“大化け”したトライアルカンパニーが日本の小売を席巻するワケ

雪元 史章 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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「生鮮改革」はどのように進められたか

トライアルの店内
これまでも強みとしてきた「安さ」はそのままに、トライアルの生鮮や総菜の鮮度・品質・品揃えが大きく進化している

トライアルの総菜

 一方で、トライアルが長年課題としていたのが、総菜を含む生鮮の商品力であった。価格競争力を高めることを最優先にした結果、調達や加工技術、鮮度管理など専門性が求められる生鮮のテコ入れまでは手が回っていなかったのだ。

 しかしそうした課題は社内で重く認識されており、水面下で虎視眈々と“改革”に向けた準備が進んでいった。まずは、外部からノウハウや知見を持つ人材を積極的に登用。商品開発や、川上までさかのぼっての調達網拡大などのほか、店舗従業員の技術力の維持・向上を図るためのEラーニングの導入、実践形式の講習なども行っていった。その結果、売場に並ぶ生鮮3品の品質と品揃えが徐々に改良されていったのだ。

 また、総菜についてはトライアルグループ傘下の明治屋(福岡県/大塚長務社長)が主体となって「総菜強化戦略」を展開している。有名料理店で修業経験を持つプロの料理人がメニューを考案し、それをセントラルキッチンや店舗で効率的・安定的に製造できるよう専門部隊がレシピを“再設計”するという独自手法で品質向上を推進。「三元豚のロースかつ重」(税込299円)の大ヒットを端緒に、価格と品質の両方を追求した商品がお客に徐々に受け入れられ、今ではそれ単体が来店目的になるほどの人気商品が続々生まれている。

 このように、トライアルの生鮮にまつわる変化は突如起こったわけではなく、これまでの地道な取り組みが結実したものである。売場の“見た目”を変えることを急ぐのではなく、それを実現するための組織づくりや仕組みづくりから、試行錯誤しながら手を入れていったのだ。その過程では、失敗を恐れることなくPDCAサイクルを回し、ときには「合宿」も行いながらビジョンの具現化を進めるという、トライアルならではの“社風”が支えたところも大きい。

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