国際会議ライブ中継!世界は日本と中国のアパレルビジネスをこう見ている

河合 拓
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シーインの強力な成功は、業界にどんな影響を与えるか?

skynesher/istock
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会場からの質問⑤:業界の話題に戻ります。シーインの強力な成功は、既存の伝統的な小売プレーヤーにとってどのような意味を持つと思いますか? シーインがこの分野ですでに存在する強力な競争圧力を悪化させたと言っても過言ではないでしょうか?

河合:「シーインは私たちの未来への「警告」だと思います。つまり、大量生産による余剰在庫が多ければ多いほど、シーインのような企業は成長します。残念ですが、私の見解では、シーインのようなビジネスは決して消えません。 アメリカでも、アパレルの余剰在庫を買取り、オフプライスストアがあり、日本でもワールドやShoichiがそうです。 シーインのモデルは別に珍しいことでなく、世界でなされていることを越境ECでやっているだけなのです。従って、私は世界の工場である中国の脅威は続くと思っています。

会場からの質問⑥:H&Mやユニクロなどの伝統的なプレイヤーは、何をすべきだと思いますか? 競争力を維持するためには、戦略をどこに集中させるべきだと思いますか?

河合 成長性分析をすると、ヨーロッパにおけるZARA、H&Mの成長は明らかに減速しています。しかし、彼らは「持続可能性」のニーズに反応し、測定ツールを採用し、新しい勝ち方の基準をつくることになるでしょう。彼らは持続可能性に焦点を当て、競争の定義を変えると思います。

  第2に、ファッション業界は、数字だけで見れば、アジアでは成長しており、東南アジアやインドの爆発的な人口増加を牽引しています。 ここは恐ろしいほどの成長機会があります。 ユニクロはこの地域で強く、ヨーロッパのプレイヤーとは明確に違います。 しかし、同時に日本は中国と米国と多くのビジネスを行っており、ユニクロにとっては、問題となっている両国間の貿易・経済戦争に苦しんでいます。ですから、基本的に世界のトップ3の選手(ZARA、H&M、UNIQLO)にはそれぞれリスクとアドバンテージがあります。

司会:歴史的に見て、中国のアパレル企業は、グローバルプレーヤーになることに成功していません。シーインの成功は、これらのダイナミクスに何か変化があることを示していると思いますか?つまり、中国企業は将来、世界の他の国々でより攻撃的になり、すでに競争の激しいアパレル市場で競争がさらに激化するのでしょうか?

河合  中国ファッションのグローバル化は今後も進んでいくと思います。実際、これまでのファッショントレンドは、パリ、ミラノ、ニューヨーク、東京などでした。しかし今日は、少なくともすでに中国では、ファッション先進国と、中国に違いはなく、世界中のZ世代はブランドの国籍に価値を見いだしていません。彼らは「スマートフォン」を使っていて、コスパだけに基づいて「合理的な購入」をしています。 実際、日本のZ世代は韓国のブランドを購入し、中国のブランドは、低価格とより良いデザインのおかげで日本のブランドより多く購買されています。

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