6月に社長交代のバローHD、田代正美会長兼社長が決算説明会で語ったこと

崔順踊(リテールライター)
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都市商圏を攻略する店舗フォーマット

 郊外で「デスティネーション・ストア」を強化している一方で、都会に目を向けると、交通の便がよい場所に引っ越すなど人口移動が増えている。都会や人口の多い場所での商売が今後マーケットとして大きくなると予測しており、都市部におけるフォーマットをどうつくり上げるかポイントになるだろう。

 その一環で、6月13日に名古屋の錦2丁目という場所に、タチヤの生鮮スーパーをオープンする。(都市立地では)従来型のバックヤードが店舗面積全体の3分の1以上を占める店舗は、経営的に採算が合わない。

 生鮮を扱う当社は「売り切り」のノウハウを持っている。「今日仕入れたものを今日売る」ということを徹底的につくり上げていけば、バックヤードや冷蔵庫のためのスペースが必要ない、あるいは冷蔵庫すらつくらない経営ができるだろう。

 実際に、昨年子会社化した八百鮮(大阪府)、ヤマタ(大阪府)の店舗面積は100坪ほどだが、非常に大きな売上高がある。50坪の店舗でも年末には鮮魚だけで1000万円を売ることもあった。これらの店舗からノウハウを得て、都会のフォーマットに展開していきたい。また、リアル店舗だけではなく、アマゾンさんとの協業からも学びながら、インターネット販売や無店舗販売にも力を入れていく。

行政との協力や外販戦略

 当社はドラッグストア、ホームセンター、スポーツ事業などを通じて、さまざまなかたちで行政と関係ができている。岐阜県では新型コロナウイルスに罹患されたお客さまに1日3食の弁当を供給し、自宅療養者の方々には1週間分の生活物資を届けている。災害の多い地域では、自衛隊への食事の供給なども行ってきた。給食事業も請け負っており、地域とのつながり、商品とのつながりができている。

 また、グループ会社のVソリューションでは、商品開発および外販事業を行っている。バローグループを相手にするのではなく、外部のスーパーマーケット企業へ商品やサービスを売っていくのが大きな戦略となっている。物流に関しても、自社のモノだけではなく、ほかのスーパーマーケットの物流を請け負うなど、物流システムを販売することで売上を積み重ねていきたい。

 ほかにも、総菜やベーカリーの生地なども他企業へ販売しており、年間70億円の売上をあげている。これを数年で200億円まで増やしたい。また、バローグループでは事業者向け配送の「ainoma(アイノマ)」というネットスーパーのシステムも有しており、これも拡大していきたいと考えている(談・文責編集部)。

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