大幅赤字から一転、黒字転換のエイチ・ツー・オー
関西スーパー統合の影響は?

棚橋 慶次
Pocket

阪神梅田本店がグランドオープン!

 H2Oは23年3月期の業績予想で、売上高が対前期比 27.3%増/前期から1415億円の6600億円、営業利益が同72億円増の 80億円、当期純利益が同 19.0%減/同18億円減の80億円を見込む。百貨店事業の本格回復に加えて、旧関西スーパーマーケットの業績がフル加算されること、大幅増収を計画。当期純利益は前期の一過性要因の反動により減益となるが、2期連続の回復となる見通しだ。

 22年4月の「阪神梅田本店」のグランドオープンも増収に貢献しそうだ。重要な“ドル箱”である大阪・梅田エリアを「阪神梅田本店」「阪急うめだ本店」の2店体制で死守したいとの思惑が透ける。阪神梅田本店の改装工事は2期に分けて実施され、工期は足かけ2年にわたった。2期目にあたる今回の目玉は“稼ぎ頭”の食品コーナーで、「洋菓子ストリート」のほか、総菜やリカー、そして生鮮食品も取り揃える。

 今回の阪神梅田本店のグランドオープンにより、「梅田」と「うめだ」の位置づけはより明確となり、ラグジュアリー志向顧客と日常買い回り客の双方を取り込みに期待がかかる。

売上は回復も利益面は当面苦戦か

 H2Oの目下の課題は、コロナ禍前の業績に「いつ」回復するかだ。

 売上高は23年3月期に19年3月期の水準を超え、1兆円の大台に乗せる(収益認識基準の適用前ベース)。一方、利益面については、コロナ禍前の水準(営業利益200億円台)に回復するのはもう少し先になりそうだ。同社の中期構想では、5年後以降にコロナ禍の水準に戻るとしている。

 とくに、中核の百貨店事業は回復が遅れており、19年3月期に180億円あった営業利益は、23年3月期はその約3分の1の60億円にとどまる見通しだ。コスト構造改革で収益体質への転換を図ると同時に、 21年4月に開業した「寧波阪急」(中国・浙江省)の地域一番店へ育成し、収益性向上をめざす構えだ。

 食品事業の「第2の柱」化も喫緊の課題だ。「イズミヤ」「阪急オアシス」「関西スーパー」の一体運営(物流インフラ等の統合)による収益改善が急がれる。

1 2

関連キーワードの記事を探す

© 2024 by Diamond Retail Media

興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

ジャンル
業態