コロナでビジネス環境激変!コンビニ大手3社の“新たな成長源”とは

大宮 弓絵 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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“店舗のメディア化”に乗り出すファミマ

 一方、ファミリーマートがねらう新規ビジネスは、店舗を活用した広告・メディア事業だ。21年9月、親会社である伊藤忠商事(東京都/石井敬太社長)とともに事業会社ゲート・ワン(東京都/藏田一郎社長CEO)を設立。AIカメラ搭載の大型デジタルサイネージ「FamilyMartVision」を6月末までに3000店、将来的に全国の店舗への設置をめざす方針を発表した。同社に先駆けて20年10月、NTTドコモ(東京都)、サイバーエージェント(東京都)とともに設立したデータ・ワン(東京都/太田英利社長)が広告代理店となり、CVSの顧客データと、サイネージや決済機能付きアプリ「ファミペイ」などの独自メディアを生かし、ワン・トゥ・ワン(One to One)の広告モデルを開発し、収益化をめざす。

ファミリーマートの大型デジタルサイネージ
ファミリーマートは、大型デジタルサイネージ「FamilyMartVision」を、全国の店舗へ設置したい考えだ

 すでにサイネージ導入店では、宣伝した商品の購入が平均で約2割、最高で約7割アップする効果が出ているそうで、多くの企業から出稿希望を受けているとともに、店舗の売上増が期待できるとして加盟店オーナーからも設置を求める声があがっている。

 こうした“店舗のメディア化”は先進的な欧米の企業ではすでに大きな潮流となっている。米ウォルマート(Walmart)は、デジタル広告プラットフォーム「WalmartConnect」を立ち上げ、個々の消費者に合ったデジタル広告サービスの展開にまで事業領域を広げている。ファミリーマートの細見研介社長は「デジタルと店舗を活用した新規ビジネスが今後、CVS事業の大きな柱になっていくことは間違いない」と述べており、同社はCVS業界でも先陣を切って乗り出したかたちだ。同様の実験をセブン-イレブンも一部店舗で開始しており、CVSの新たな収益モデルとして確立できるのか注目される。

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記事執筆者

大宮 弓絵 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

1986年生まれ。福井県芦原温泉出身。同志社女子大学卒業後、東海地方のケーブルテレビ局でキャスターとして勤務。その後、『ダイヤモンド・チェーンストア』の編集記者に転身。最近の担当特集は、コンビニ、生協・食品EC、物流など。ウェビナーや業界イベントの司会、コーディネーターも務める。2022年より食品小売業界の優れたサステナビリティ施策を表彰する「サステナブル・リテイリング表彰」を立ち上げるなど、情報を通じて業界の活性化に貢献することをめざす。グロービス経営大学院 経営学修士

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