今年アパレル世界一へ!?幹部も登場、正しいD2Cシーイン成功の秘密を明らかにする!

河合 拓
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日本は完全無視、世界は中国を脅威に感じている

さて、冒頭のカンファレンス開催に先立ち、欧米のトップアナリストたちと本番前に徹底したディベートを行った。その時、印象的だったのは、「例えば、日本では、、」と日本の話をはじめると、彼らは「日本についてはユニクロで十分だ。あとは、どうでも良い」と言う点だった。彼らが日本のアパレル産業に全く興味がないのは明らかだった。

私に白羽の矢が立ったのは、「私たちはシーインの幹部と直接話をする機会を得て、彼らの主張に反証できる人間を探していた」からだという。日本市場の専門家としてではなく、中国市場、それもベールに包まれたシーインの本質を語れる人間として私は招聘されたわけだ。

これ以上は守秘の壁に守られその詳細を語ることができないのだが、世界から隔絶された日本の的外れな声、例えば、「OMOやメタバースで売上10%アップだ」などという主張をあちこちでみると、論理破綻した局所的主張を繰り返す日本市場が、世界から無視される理由もよく分かる。

考えてみて欲しい。毎年日本国内だけで倍以上の供給を行い、ますます縮小する日本がすべきことは、「OMO戦略」でなく、余剰在庫に在庫税を課し、作りすぎをなくすことだ。売り方の効率化や戦略は、その後だ。なぜこんな単純なことが分からないのだろうか。

世界のアパレル産業が直面する3つの力

さて、本題に入りたい。ここからは私とアナリストたちのディベートのやりとりを公開したい。

まず私は、このカンファレンスの冒頭で、世界のアパレル産業が直面している(日本ではない)3つの力について問題提起した。

ひとつは、巨大プレイヤーの成長が鈍化し、環境との共存なく生き残れなくなったこと。例えば、ESG経営に積極的な企業の株価は、そうでない企業よりも高くなっている(註:日本では、全く相関性はない)
 
二番目に、デジタル化が世界規模で進み、小売業の生産性や拡張性が飛躍的に向上した一方、従来型企業ではテクノロジーのスピードについていくことが難しくなっていて優勝劣敗が大きく出てきていること。

最後に、コロナは消費者の生活様式を大きく変え、結果、ECが劇的に拡大、従来の小売業者の「勝ちパターン」を困難なものとし、また、デジタル技術を活用したD2Cと呼ばれる、新興勢力による競争が激化していることだ。シーインなどはまさにその典型だと見ている。

これに対して、アナリストたちは以下のように返答、そして追加で質問をしてきた。ここから先はディベート形式でそのやりとりを紹介したい。

 

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