人口減少エリアでも成長続ける!薬王堂、独自の生き残り戦略が面白い!

棚橋 慶次
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小商圏で戦う薬王堂の生き残り戦略

 22年2月期決算において、過去最高の売上高を更新した薬王堂HD。08年2月期と比較すると、店舗数は103店から359店へ、売上高は341億円から1203憶円へともに3倍以上に成長した。しかもこの間、ずっと増収を続けている。

 もちろん、成長は出店だけに頼っているわけではなく、既存店売上高も6期連続でずっとプラスだ。ここ2年間は長期KPIである103%を下回っている(2021:102.8% 2022:101.6%)ものの、東北地方は人口減少が続き、小売販売額がマイナストレンドであることを考慮すると、薬王堂HDの既存店プラス成長は評価してよいだろう。

 とはいえ、東北地方の事業環境の厳しさは、同社の今後の成長の不安要素となる。東北地方は全国の中でも突出して少子高齢化が進んでおり、経済も収縮に向かっている。そうした中でエリア内には大手ドラッグが入り込み、しのぎを削っているのである。

 生き残り戦略として薬王堂HDが進めてきたのが、小商圏ドミナント戦略だ。市街地に店を構える大手に対し、薬王堂HDは内陸の山間部といった「空白地帯」に入り込む。商圏人口も7000~8000人程度と少ない。

 もう1つの特徴は、独自の業態「小商圏バラエティー型コンビニエンス・ドラッグストア」だ。医薬品・化粧品だけでなく食品・雑貨さらには衣類までを揃え、過疎地・遠隔地の消費者を囲い込み、客単価を上げる。だからこそ小商圏でも算盤が合うわけだ。

 独自の出店戦略と業態が奏功し、現在東北地方でシェア2位の座を確保する薬王堂HDだが、今後も厳しい戦いが続く。2020年、九州のドラッグイレブン(福岡県/畑井慎司社長、当時の社名はJR九州ドラッグイレブン)がツルハホールディングス(北海道/鶴羽順社長)の連結子会社となるなど、大手の傘下に入る地方の有力ドラッグストアは依然として多い。

 薬王堂HDは生き残りをかけ、差別化戦略に注力する。たとえば公式アプリ、現在の登録者は15万人だが、将来的には倍の30万人にまで延ばす。アプリを通じた肌診断や健康チェックを通じ、稼ぎ頭であるヘルスとビューティを伸ばそうという皮算用だ。フードテックベンチャー「ネクストミーツ」との共同開発による代替肉を店頭に並べるなど、SDGs的な商品施策にも注力する。

 まだ取り組みは始まったばかりだが、成果を出すことができるのか。今後に注目だ。

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