コロナ禍でも絶好調「プレミアム・アウトレット」
出店のねらいとECへの対抗策とは?

2022/06/09 05:55
    堀尾大悟
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    20年間築き上げてきた独自の「体験価値」

    三菱地所・サイモン
    三菱地所・サイモンの山岸正紀社長

     第1号店の「御殿場プレミアム・アウトレット」がオープンしたのは2000年。当時は「アウトレット=安かろう悪かろう」のネガティブなイメージがあったが、施設運営の努力を重ねる中で、「一流ブランドが手ごろなプライスで買える場所」「非日常空間の中でワクワクしながら宝探しができる場所」という独自のブランドを確立してきた。「『わざわざ行く楽しさ』はECでは提供できない体験価値。ゆえにECとは競合関係にはならない、とみている」(山岸氏) 

     「実際に足を運んで、発掘できる楽しさ」の新鮮さを維持し続けるために、各施設では地域の特色を出した独自の運営努力がなされている。一例として、「御殿場プレミアム・アウトレット」では、20221月から遊覧ヘリクルージングサービスを開始した。単なる買い物にとどまらないエンターテイメント体験を、9つの施設それぞれが常に生みだし続けている。

     ECの台頭、製品のコモディティ化などを背景に、マーケティング界隈では「ただモノを販売するだけでは淘汰される」「これからはカスタマー・エクスペリエンス(CX)の時代だ」などと喧伝される。その「体験価値」の重要性に20年も前から気づき、「体験価値」を軸に独自のブランドを築き上げてきた。そこに、時代がようやく追いついたのかもしれない。

     近年ではアパレル業界を中心に在庫過多に悩む企業は多く、サステナビリティの観点から在庫適正化が課題となっている。「プレミアム・アウトレットは都心から離れていることから、ブランドを毀損せずに在庫を販売することができる。また集客力も高く、新規顧客開拓にもなっているため期待されている」(同)

     この20年の間に、「車で気軽に行けるエンターテイメント施設」として、家族やカップルで訪れる休日レジャーの定番となったプレミアム・アウトレット。これからも新たな「体験価値」で私たちを驚かせてくれることだろう。

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