新フォーマット創造に向けた、既存フォーマットの現状と分析の方法

日本リテイリングセンター シニア・コンサルタント:桜井多恵子
Pocket

増え続ける赤字店

 連載第1回で述べたように、売場販売効率は年々下がっている。どのフォーマットもその理由は同じだ。①オーバーストア、②品揃えの同質化、③フォーマット間競争、④新しい品種開拓の遅れ、⑤ECなど新業態の割り込み、などが挙げられる。その結果、赤字店の比率は年々増加している。全体の5割を超える店舗が赤字の企業も少なくないのだ。

スーパーで買い物 イメージ
まずは自社の赤字店比率を知らねばならない。10年前、20年前と比較すれば、深刻な状態であることはわかるはずだ。(i-stock/recep-bg)

 まずは自社の赤字店比率を知らねばならない。10年前、20年前と比較すれば、深刻な状態であることはわかるはずだ。だから、ねらう用途と価格帯、商品構成、来店頻度など、フォーマットの条件を決め直して再構築をする必要に迫られているのである。

 競合の条件が変わったオーバーストアの今日では、以前なら十分あった客数は今では確保できない。自社も同業他社も、後発フォーマットも、ECなどの異業態も同じ商品分野に参入し、自然減少が確実に進行中の日本の消費者を取り合っているからである。

 店が赤字になるのは赤字部門の数とその赤字幅が増えるからだ。そのマイナスが黒字部門の収益で賄えれば店舗の赤字化は免れる。しかし赤字を放置するとますます悪化するのが常で、時間経過とともに必然的に黒字店は赤字店に転落する。その数が確実に増加中である。

 ところが多くの企業のトップマネジメントは、この問題を真っ向から解決しようとはしない。店長に「赤字だから売上高を高めよ」と売上高の努力目標を言うだけの場合が多いのだ。しかしそれでは赤字解消は実現しない。

 売上高は客数×客単価の結果である。そのどちらも店長にはコントロールできないのだ。客数はその立地を選んでそのフォーマットのそのサイズの店をつくった店舗開発の責任である。店ができてから配属された店長にはその条件を変える術はない。駐車台数を増やすことも店長にはできないのである。

続きを読むには…

この記事はDCSオンライン+会員限定です。
会員登録後、DCSオンライン+を契約いただくと読むことができます。

DCSオンライン+会員の方はログインしてから閲覧ください。

1 2

関連記事ランキング

関連キーワードの記事を探す

© 2024 by Diamond Retail Media

興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

ジャンル
業態