元ファストリ上席執行役員が明かす!「店長をヒーローにしたい」と思わせる組織づくり【後編】

聞き手:大宮 弓絵 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
構成:佐野佳代子
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ファーストペンギンになる
勇気が店長には必要

――店舗運営や業績低迷に悩む店長へアドバイスをお願いします。

神保 店長というのは基本的には本部からおりてきた指示をいかに滞りなく店舗で実行するかを求められることが多いと思います。しかしこの文化のままでは、店長とスタッフの心の距離がどんどん離れていき、店舗の空気は悪くなり、スタッフが離職していくという負のスパイラルから抜け出せません。

 これを逆転するには、本質的に現場の悩みを欲しがる店長が出てくるしかないのです。悩みを欲しがる最初のフェーズでは、本部の上司と揉めたり、「そんなことをやってる場合じゃないだろ」とスーパーバイザーに言われる場面もあるかもしれません。それでも悩みを欲しがってほしい。悩みを欲しがるカルチャーがインストールできれば、課題解決の根っこを掴むことができるのですから。

――上層部が変わらなければなかなか実行するのが難しいという構造的な問題も含みます。

神保 確かにまず上が変わるべきなのですが、変革なんて空から降ってくるわけでもなく、会社が準備してくれるわけでもなく、変革するぞという気概のある人が小さく始めることでしかスタートしないのです。誰かが最初のファーストペンギンにならない限り、セカンドペンギンは生まれません。

もし今の状況がおかしいと思うなら、ファーストペンギンになる勇気を持ってください。一人で不安なのであれば、ファーストペンギンになりそうな仲間を見つけ、一緒にやらないかとアプローチしてもいい。集団でファーストペンギンになるというやり方でも構いません。

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聞き手

大宮 弓絵 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

1986年生まれ。福井県芦原温泉出身。同志社女子大学卒業後、東海地方のケーブルテレビ局でキャスターとして勤務。その後、『ダイヤモンド・チェーンストア』の編集記者に転身。最近の担当特集は、コンビニ、生協・食品EC、物流など。ウェビナーや業界イベントの司会、コーディネーターも務める。2022年より食品小売業界の優れたサステナビリティ施策を表彰する「サステナブル・リテイリング表彰」を立ち上げるなど、情報を通じて業界の活性化に貢献することをめざす。グロービス経営大学院 経営学修士

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