杏林堂薬局があのニトリ、ユニクロ、イケアと共通することとは

有田英明
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商圏人口が減少する時代になった。顧客満足と生産性を向上させ、同時に店スタッフの給料を上げるためには「挑戦する経営」が必要になる。つまり需要創造とラインロビングに挑戦する店づくりである。それが杏林堂薬局(静岡県/小河路直孝社長)の100年企業戦略である。

店スタッフが売場を楽しんでつくる奇跡

 商圏人口が1割減少したら、今までと同じ店づくりでは売上は1割減少する。競合店が出てくればさらに売上は下がる。

 第2次世界大戦が終わった1945年の日本の人口は約7200万人。人口が最も多かった2010年が約1億2800万人だったので、わずか65年間で5600万人も人口が増えたことになる。

 これだけの人口増加の時代であれば安売りしても売り個数はそれ以上に増え、必要とする粗利益高も確保できた。しかしすでに人口減少時代に入っており、安売りしても売り個数は増えない時代になった。

 今までと同じ店づくりをしていたら売上と粗利はどんどん下がる。人口増加時代と同じ業態戦略、同じ品揃え政策、同じ価格政策、そして同じ売場面積では間違いなく業績は悪化する。

 商圏人口が減少する時代では、商圏のお客一人ひとりの家計内シェアを向上させる必要がある。そのために戦略的に重要なのが「需要創造」と「ラインロビング」だ。

 ドラッグストア(DgS)業界では売場面積250~300坪が標準的だった。しかし杏林堂薬局は1995年に500坪の店を開発し、その後も600~1300坪といった大型店を開発している。需要創造とラインロビングにはテゴリーの適正規模が必要であり、そのために大型店を開発してきたのである。

 効率こそが大事であり、総資本営業利益率こそが経営目標だという人もいる。こうした人たちは売場でも徹底した省力化が正義だとしている。

 売場の人件費を徹底的に削減する。そして本部の指示どおりに売場をつくらせ、品目を絞って売場の作業を効率化するといった店づくりだ。つまり制御型マネジメントによる組織運営である。

 しかしこうした店づくりではこれから商圏人口が減少したら、売上と粗利も下がる。何より店スタッフの給料も上がらないどころか下がる。

 杏林堂薬局の売場は

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