爆速の日本買い!ストライプインターナショナル、ファンド傘下入りの必然と再建戦略を読む!

河合 拓
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ストライプ、既存事業続々閉鎖のロジック

ホテルコエトーキョーは22年1月末、閉館した
ホテルコエトーキョーは22年1月末、閉館した

さて、いくら名医でも自分が病の不治に倒れれば、自分の腹を切って手術することはできない。これと同様に、日本企業は思い切ったビジネスモデル改革を拒みズルズルと時代に取り残された結果、突如現れたゲームチェンジャーや外資の前に自ら改革をする力も体力もなくなってしまった。だから、一見、荒療治ともいえるファンドに救済を求めるわけだ。

そこで今回のストライプインターナショナルに話を戻す。私から見て事業シナジーとしての意味が見えなかった渋谷の「ホテルコエトーキョー」は1月末で閉鎖され、ほとんど売上・利益ともに貢献していないのではないかと思われた「ストライプ・デパートメントストア」も2月末に閉鎖された。

仮に私の仮説が当たっているとすれば、こうした収益を生まない事業は、ファンドが買い取った後に閉鎖するパターンと、ファンドからこうした無意味な事業を自力で閉鎖することを前提に株式を引き受けるケースがあるが、今回は後者であった。

T-CAPは、元々東京海上キャピタルという名で、ファンド業務を行っており、バーニーズニューヨークやミキハウスなどを保有していた実績を持ち、私も過去何度かお付き合いした経験を持つ。いわゆるアパレル分野では素人ではないファンドだ。また、ストライプインターナショナルについても、私は詳しいことはわからないが、ここに至るまでの経緯を推測すると、時代の寵児といわれた石川康晴・元社長なくして、ストライプインターナショナルの躍進は語れない。

彼は、コンサルタントと見間違えるほどメディアに出演し、僭越ながら、私も日経MJの紙面でご一緒させていただいたこともある。人のことを言える立場ではないが、当時からメディアのインタビューに対し、「人とは感覚が違う、不思議なことを言うな」と感じていた。私は、彼の口から発せられる「思いつき」ともとれる未来感についていけなかった。だが実績を出していたので、メディア受けは良かった。

だが、さすがに、渋谷のホテル事業には疑問だったし、ストライプデパートメントについても、ZOZOXIT (百貨店アパレルなど高額アパレルがZOZOからでてゆく造語)の先鞭をきったまでは良かったが、事業としては難しいと思っていた。そもそも、百貨店アパレルが独立して客を呼べる力があるとは思えず、ましてや、earth music&ecologyなどのキラーブランドもすでにピークアウトを迎えていたように感じていたからだ。「これはCPA(顧客獲得単価)がおもいきり嵩むだろうな」と余計な心配をしていた。

 

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