流通専門メディアが解説する!2021年アパレル専門店売上高ランキングトップ30

2022/04/06 05:55
    兵藤 雄之
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    アパレル専門店が苦境に立たされている。家計調査の品目別実質増減率(2人以上世帯)を見ると、2020年は「洋服」「シャツ・セーター類」「下着類」はそれぞれ「対前年比21.1%減」「同21.1%減」「同10.7%減」と大幅減となった。21年に入ると「シャツ・セーター類」が「同1.7%増」と増加に転じたものの、「洋服」は同4.2%減、「下着類」は同0.4%減と前年実績を下回っている。ファストファッションの広がり、大手衣料品専門店のSPA化などにより、衣服の価格が安くなったという背景もあるが、アパレルを取り巻く環境は厳しさを増している。22年のアパレル専門店の決算はどのような結果となるか。最新決算発表前に、21年決算を振り返ってみたい。

    ユニクロのロゴ
    (2022年 ロイター/Yuya Shino)

    発表間近の2022年決算、各社の状況は?

     業界トップのファーストリテイリング(山口県)は、20年8月期は売上収益が2ケタ減(前年同期比12.3%減)だったが、21年8月期は国内ユニクロ事業が、外出禁止令や営業停止などの影響が大きかった海外ユニクロ事業の失速をカバーし、売上収益は2兆1329億円(6.2%増)まで戻した。もっともこの数値は18年8月期(2兆1300億円)とほぼ同規模にとどまっている。

     「情報製造小売業」を標榜する同社が目下力を入れているのがEC強化だ。21年8月期の国内ユニクロ事業のEC売上高は対前期比17.9%増の1269億円。19年8月期比では5割増になり、EC化率は15.1%にまで拡大。店舗とECの融合も進み、店舗受け取りはEC売上げの40%以上になった。

     コロナ禍1年目において売上を伸ばしたしまむら(埼玉県)、西松屋チェーン(兵庫県)、ワークマン(東京都)だが、22年決算期の第3四半期までの状況は、3社とも好調さを持続している。

     しまむらはPBや自主企画商品が好調で、第3四半期累計では売上高は同8.0%増の4368億円と過去最高を記録。同社はEC事業の取り組み強化を図っており、12月時点でEC会員は100万人に到達、EC注文の9割が店頭受け取り、買い合わせ比率も46%に達している。

     西松屋チェーンは、第3四半期累計では同1.4%増の1248億円にとどまっていたが、第4四半期の速報ベースでは5.0%増まで伸ばし、通期ベースでの全店売上は2.2%増になった模様だ。

     「ワークマンプラス」が好調を牽引するワークマンは、第3四半期までのチェーン全店売上は同7.0%増。ワークマンプラスに加えて、#ワークマン女子の出店も加速し、22年3月期は6期連続の増収増益を見込んでいる。

    大打撃の紳士服業界

     一方で、在宅勤務の影響で大きな痛手を蒙っているのが紳士服業界だ。青山商事(広島県)は大規模な閉店、人員整理により事業再構築を図り、22年決算では営業黒字への回復を見込む。オン・オフ兼用の「パジャマスーツ」がヒットとなったAOKIホールディングス(神奈川県)は、第3四半期累計の売上高では同8.5%増の1027億円まで戻している。

     22年3月に通期業績予想を上方修正したのはアダストリア(東京都)だ。第3四半期までの9カ月でEC売上高は421億円(同8.1%増)、売上高構成比は3割を超える。3月には子供服EC専業ブランドを展開するオープンアンドナチュラル(東京都)を子会社化、さらなるEC事業拡大を図っている。

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