百貨店向けアパレルが、今すぐ無駄なコストを10億円以上減らす方法 

河合 拓
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クラウドPOSを使えば解決可能

この問題は、クラウドPOSというソリューションを使えば、簡単に解決が可能である。クラウドPOSというのは、マザーズに上場している gooddaysホールディングズ(https://gooddays.jp/)という企業が提供しているソリューションだ。大企業でない分、価格競争力は非常に高く、私がいまもっとも注目しているソリューションプロバイダーである。

 この企業は、もともと住宅やリノベーション事業からはじまった。その後、「衣」の領域に進出。「決済」という一見地味な領域が複雑化している実態に着目した。例えば、上記のPOSレジもさることながら、最近ではスマホ決済やキャッシュレス決済など、決済の様式は多岐に及んでいる。この会社のソリューションは、それらの「ほぼ全てのハードウエア」と結合し、一旦クラウドにあげ、一つの売上データとして企業に提供する。すでに、大手百貨店や総合スーパー(GMS)、最大手のアパレルも導入をしているが、あまり知られていない。この技術を百貨店グループとアパレルが使うだけで、山のような決済処理から人間が解放され、恐ろしいほどの生産性向上に繋がることになる。さらに、決済データから生み出されるビッグデータは、マーケティングデータとして、おそらくAIカメラより精度が高い(実際に購買したデータだからという意味で)基礎情報となり、百貨店と百貨店アパレルにとって「つぶやき展示会」よりは、遙かに高い精度をもったマーケティングデータを提供してくれるだろう。

 私は、百貨店の方、そして、百貨店向けアパレル企業の方にぜひ一度、「クラウドPOS」の導入を検討してもらいたいと思う(私は同社の営業ではないのでこれ以上は言わないが)。まずは、何十年も放置された課題を解決し、メタバースやD2Cなどの新しい技術の導入検討をなされてはいかがだろうか。

 

IFI総合研究所で、私が主観となり部長職以上の方を対象に「DXD2CESG経営」を5月から開催します。今、必要なのは若者の教育以上に意思決定者の方のリテラシーを上げることです。世界の最新のビジネス事例を研究し産業界復活のトリガとなる議論を大いにやりましょう。なお、本研究会の討議内容は、みなさんの承諾無く一切外部には公開いたしません。お申し込みは以下まで
「DXとD2CによるESG経営」研究会
応募/お問い合わせ先: Info@ifi.or.jp

TEL:03-5610-5701  担当:碓井

 

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プロフィール

河合 拓(経営コンサルタント)

ビジネスモデル改革、ブランド再生、DXなどから企業買収、政府への産業政策提言などアジアと日本で幅広く活躍。Arthur D Little, Kurt Salmon US inc, Accenture stratgy, 日本IBMのパートナーなど、世界企業のマネジメントを歴任。2020年に独立。 現在は、プライベート・エクイティファンド The Longreach groupのマネジメント・アドバイザ、IFIビジネススクールの講師を務める。大手通販 (株)スクロール(東証一部上場)の社外取締役 (2016年5月まで)
デジタルSPA、Tokyo city showroom 戦略など斬新な戦略コンセプトを産業界へ提言
筆者へのコンタクト
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