呉越同舟かそれとも… ヤマダが”仮想敵”アマゾンと組んで「Fire TV搭載テレビ」を売る深謀とは
アマゾンの思惑と協業深化のゆくえ

では、アマゾン側の思惑を考えてみましょう。
アマゾンは、ECの浸透を基本に考えており、アマゾンエコーがそのフックの役割を担うことになると思われます。しかしアマゾンにはリアル店舗がなく、他の主要なECサイトである楽天・ヤフーショッピングのような通信事業者との接点が薄いのが現状です。また、グローバルプラットフォーマーであるアップルは自社店舗網に加えて既に通信事業者・量販店との接点が強く、グーグルも通信事業者・量販店との接点を築いています。
したがって、アマゾンにとってヤマダHDの販売網は、設置・施工などのアフターサービス力を含め、大変魅力的な援軍に映っていると思います。
では、今後協業の深化はありうるのでしょうか。筆者は、今回の協業の成果次第ではその先は十分あると考えます。
まずアマゾン側から見れば、全国にわたるヤマダHD店舗をアマゾンのプライベートブランド(PB)のショールームおよび在庫スペースとして活用する可能を無視できません。
ヤマダHD側から見ると、競合が扱わない商品群が増えることによるメリットは大きいと思います。さらに資本提携に発展すれば(ディスシナジーの精査は必要ですが)事業上のメリットに加え、経営層の充実という積年の課題に対する手当てにつながるかもしれません。
本件は、ヤマダHD側が成果を出すほど、