衣料品約20万点を回収! イトーヨーカドーが消費者と一緒に取り組むサステナブルな商品開発

松尾 友幸 (ダイヤモンド・チェーンストア 記者)
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サステナブルな視点での商品開発も

 このようなイベントを実施するほか、イトーヨーカ堂はサステナブルな視点を意識した商品開発にも取り組んでいる。セブンプレミアムライフスタイルの「超・形態安定シャツプラス」(3289円)では、付属資材をすべてファイバー紙に変更し、ワイシャツ1枚当たり500㎖ペットボトル0.5本分のプラスチックを削減している。

「超・形態安定シャツプラス」(3289円)では、付属資材をすべてファイバー紙に変更し、ワイシャツ1枚当たり500㎖ペットボトル0.5本分のプラスチックを削減している
「超・形態安定シャツプラス」(3289円)では、付属資材をすべてファイバー紙に変更してプラスチックを削減している

 「リサイクルな靴下」(539円)は、2110月に回収した衣料品から「綿・綿ポリエステル」素材を抽出・紡績して開発した商品だ。国内工場でリサイクルし、消臭などの基本的な機能も備えている。

消費者から回収した衣料品を再生して開発した「リサイクルな靴下」
消費者から回収した衣料品を再生して開発した「リサイクルな靴下」

 そのほか、「未来世代との取り組み」をテーマに、子供に寄り添った商品開発にも取り組む。「今治こどもハンカチ」(429円)、「ポケット快適パンツ」(19692739円)では、実際に小学校に訪問し、子供の悩みや要望を聞き取り調査して商品開発に反映させた。「今治こどもハンカチ」では、折り曲げてポケットに入れやすい長方形のデザインを採用したほか、「ポケット快適パンツ」では濡れたハンカチを入れても乾きやすいようにポケット部分がメッシュ素材になっている。

イトーヨーカ堂は「未来世代との取り組み」をテーマに、子供に寄り添った商品開発にも取り組む
イトーヨーカ堂は「未来世代との取り組み」をテーマに、子供に寄り添った商品開発にも取り組む

 消費者のサステナブル意識が高まるなか、企業がサステナブルな施策に取り組んでいることを消費者に伝えることの重要性も高まっている。梅津氏は「(回収イベントについて)反響の大きさに驚いている。一般的にこういった取り組みは自社の商品のみを回収する企業が多い。われわれは自社商品以外も回収しており、この取り組みが消費者から高評価をいただいている」と手応えを得ている。お客を巻き込みながら取り組むイトーヨーカ堂のサステナブル戦略は、小売がSDGsに取り組むうえで参考になる部分が多いのではないだろうか。

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記事執筆者

松尾 友幸 / ダイヤモンド・チェーンストア 記者

1992年1月、福岡県久留米市生まれ。翻訳会社勤務を経て、2019年4月、株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア入社。流通・小売の専門誌「ダイヤモンド・チェーンストア」編集部に所属。主に食品スーパーや総合スーパー、ディスカウントストアなど食品小売業の記者・編集者として記事の執筆・編集に携わる。趣味は旅行で、コロナ前は国内外問わずさまざまな場所を訪れている。学生時代はイタリア・トリノに約1年間留学していた。最近は体重の増加が気になっているが、運動する気にはなかなかなれない。

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