ナスの“へた”も商品に! オイシックス、フードロス率脅威の0.2%に迫る

棚橋 慶次
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アップサイクル商品がヒット ナスの“へた”も食べられる

 オイシックスの取り組みを具体的に見ていこう。オイシックスといえば、一食分の食材がセットになったミールキットが代表的な商品だが、フードロス削減の第一の要はこのミールキットにある。ミールキット自体が消費者の手元で食材の廃棄が出にくい商品であることに加え、会員制であることから需要の予測がしやすい。さらに、生産者の作柄状況と顧客の需要予測を取り込んだマッチングシステムの活用でより精度を向上させ、流通におけるフードロス率を0.2%にまで抑え込んでいる(2021年11月現在/一般流通チャネルは約5〜10%)。オイシックス経営企画部グリーンプロジェクトリーダーの東海林園子氏は、「0.2%というのはほぼ理論値に近い数字。配送中の衝撃がきっかけで傷んでしまったものや、出荷時点では問題なかったがお客さまの手元に届いた時には傷んでいたものなど、回避の難しいものがほとんどを占めている」と話す。

オイシックスが販売しているアップサイクル商品。素朴な味わいで、言われなければアップサイクル商品だとは気づかないクオリティだ

 アップサイクル商品の開発にも積極的に取り組んでいる。通常であれば捨ててしまう部分を活用した、「ここも食べられるチップス ブロッコリーの茎」(30g/430円:以下すべて税込価格)や、「同 なすのヘタ(黒糖味)」(20g/430円)が好評を得ているという。これらブロッコリーの茎などは、本来であれば収穫・加工などの段階でゴミとして捨てられてしまっていたものだ。

 アップサイクル商品の難しさは、これまではゴミとして捨てていたものを「食材」として管理しなくてはならないところにある。生産・加工の視点で見ると手間が増すだけと捉えられがちだが、意外にもこれらの商品が好評であることを生産者に伝えると「無駄なく食べてもらえてうれしい」という反応で快く協力が得られることも多いという。

 もちろん、アップサイクル商品が成功するためにはいかに付加価値の高い商品を提案できるかが肝だ。たとえば上記のなすのヘタを活用した商品は、カリカリとした食感の良いチップスになっており、本来捨てていたものだとは思えない仕上がりだ。アップサイクル商品の開発も手がける東海林氏は、「意外性と味の良さがポイント。これからも新たな商品開発には注力していきたい」と話す。

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