店内調理、冷凍食品で突き抜ける! ローソンのアフターコロナ戦略

2022/02/18 05:55
    田矢信二(コンビニ研究家)
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    冷凍食品の売上を
    25年度までに5倍へ

     「売場」とともに「商品」においても改革が進んでいる。なかでも冷凍食品は、ローソンにおいても売上高伸長率がここ5年で2倍以上と、トップクラスで伸長するカテゴリーとして、戦略的に販売を強化する。25年度までに20年度対比売上高を5倍に伸ばすと、かなりハードな目標まで発表した。

      背景としては、現在コンビ二の売場ではオープンケースに並ぶチルド商品が主力だが、この売上高構成比がある程度の割合で、冷凍食品にシフトすると想定しているではないだろうか。たしかに冷凍食品の技術の進化は目まぐるしく、食品小売各社でも年々売場が広がっている。冷蔵庫にストックする、すぐ食べるという双方の需要が期待でき、フードロス削減効果も見込める。

    冷凍食品
    ローソンは25年度までに冷凍食品の売上高を20年度対比で5倍に伸ばしたい考えだ

    コンビニで冷凍食品が
    伸びている理由

     2000年代にはコンビニの冷凍食品といえば、ロックアイスや鍋焼きうどんぐらいだった。それがなぜここまで購入される商品になったのか。これには、冷凍食品とコンビニに消費者が求めるニーズがマッチしているからだと私は考えている。

     女性の社会進出による共働き世帯の増加、核家族化や高齢化社会など、コンビニは社会構造の変化で生じる新しいニーズに対応し成長してきた。冷凍食品もまさに、それらの環境変化に即した商品として消費量が広がっている商品と言える。

    冷凍弁当やホットスイーツ・・・
    新しいカテゴリーを開拓

    幅広いカテゴリーの冷凍食品を提案する

     では、ローソンは野心的な冷凍食品の売上高目標をいかに達成しようとしているのか。具体的には「カテゴリーの拡大」「定番品の改良」「新しい即食ニーズへの対応」の3つにチャレンジしていくという。

     特筆したいのは、カテゴリーの幅広さと、その品質だ。

     冷凍庫から出してすぐに食べられることをコンセプトにした冷凍デザートでは「4種のマカロン」や「フォンダンショコラ」を、冷凍ベーカリーでは、ローソンの健康志向消費の看板とも言える、ブランを使用したパンの「ブランのクロワッサン」や「ブランのイングリッシュマフィン」などを発売している。そのほか、冷凍ラーメンや冷凍弁当にも力をいれていくようだ。

     とくにユニークだと感じたのは冷凍デザートだ。これまでのコンビニのスイーツと言えば、冷たい温度帯の商品ばかりだが、レンジアップして楽しむ「ホット・スイーツ」カテゴリーには潜在的なニーズがあるのではないだろうか。「フォンダンショコラ」は、冷凍食品とは思えない美味しさだった。

    「フォンダンショコラ」

     ローソン以外にも、「セブン-イレブン」では冷食売場の拡大した新レイアウトの導入を推進。「ファミリーマート」が複数展開してきたPBを統合した新ブランド「ファミマル」でも、冷凍食品が戦略の重要な要となっている。大手コンビニ3社の売場改革、商品開発からは今後も目が離せない。

    【執筆者】

    田矢信二(たや・しんじ)

    近畿大学商経学部卒業。幼少期は実家の小さなおもちゃ屋で商売を学ぶ。その後、セブン-イレブン・ジャパン、ローソンを経て、コンサルタント会社でも勤務。コンビニの商品や売場全般に詳しく、お店に訪れ消費者目線で買い物して試食する毎日。本部社員として働いた現場経験を活かし、コンビニに関する講演・セミナーからテレビ・ラジオ番組などにも出演。コンビニをテーマにした記事への取材なども。アジア企業へのコンビニをテーマにした企業講演の実績も多数。主な著書に『セブン-イレブンで働くとどうして「売れる人」になれるんですか?』『ローソン流アルバイトが「商売人」に育つ勉強会』(以上、トランスワールドジャパン)がある

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