三重県鈴鹿市を本拠に店舗展開するローカルチェーンのスーパーサンシ(田中勇社長)。同社は40年以上前から宅配事業を展開し、すでに店舗事業を凌ぐ収益率のビジネスになっている。収益化が難しいとされる宅配事業で同社はなぜ成功しているのか。その秘訣に迫る。
店舗事業よりも約2pt高い収益率
スーパーサンシは三重県の中部から北部いわゆる中勢(ちゅうせい)、北勢(ほくせい)エリアで13店を展開。2020年度のグループ合計売上高は437億円のローカルSMだ。注目したいのはその営業形態と売上高構成比である。同社は13店中7店を拠点に、自社商勢圏をすべてカバーするネットスーパー「宅配サービス」を展開しており、全体売上高の2割近くを稼いでいる。
スーパーサンシの宅配サービスの始まりは約40年前。1980年頃、イオン発祥の地でもある三重県では、各地で大手小売業が台頭しつつあり、規模以外で対抗する差別化策として商品の宅配サービスを開始した。当時はインターネットもないため、電話での受注から始め、自動応答システムを自社開発するなど独自の事業モデルをつくり上げていった。
セルフサービスのリアル店舗と比べて、宅配サービスは自社で受注からピッキング、箱詰め、配送までと多くの負担がかかることから収益化が難しいといわれる。しかしスーパーサンシはネットや携帯電話の普及を追い風に15年ほど前に黒字化に成功。現在、宅配サービスの営業利益率は店舗事業よりも2ポイント(pt)程度高い水準にあるという。
そしてコロナ感染拡大を機にスーパーサンシの宅配サービスはさらに利用を伸ばしている。21年の宅配サービスの売上高は、感染拡大直後で需要が急増した20年と比較しても約15%増加。前年の反動減で業績が伸び悩むSM企業も多かったなか、スーパーサンシの全体売上高は宅配サービスの存在もあって20年をさらに大きく上回る水準で推移している。
スーパーサンシ常務取締役Net Market事業本部長の高倉照和氏は、現在のネットスーパー市場について次のように話す。「コロナ禍を機にネットスーパーの利便性は消費者に着実に認知された。当社の宅配サービスはとくに30~40代の若い子育てファミリーから支持されており、この需要の高まりはもはや一過性のものではないと感じている」。
平均利用数は週2回!鍵付ロッカーで高効率配送
なぜ、スーパーサンシはネットスーパー事業を収益化できているのか。その秘訣は、同社の宅配サービスの事業モデルにある。
まず、
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