急拡大するネットスーパー選択肢は多彩 自社にあった戦略の見つけ方とは

大宮 弓絵 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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大手ECと提携、Qコマース…新規プレーヤーも続々

 大手プラットフォームと手を組みネットスーパーを展開する企業も増えている。

 ライフは、19年9月から提携するアマゾンジャパン(東京都:以下、アマゾン)の配送網によって、注文後最短2時間での配送を可能にするネットスーパーサービスの事業エリアを急速に広げている。すでに首都圏・近畿圏の広範囲をカバーし、21年2月期のネットスーパー売上高は53億円を達成。30年には1000億円をめざす目標も打ち出している。そのほか東海地方ではバローホールディングス(岐阜県)もアマゾンと提携し21年6月から愛知県の一部エリアで最短2時間配送を開始している。

 また22年1月からは楽天グループが、「楽天西友ネットスーパー」で得たノウハウを提供する、ネットスーパー事業者向けのプラットフォーム「楽天全国スーパー」の提供を開始。すでにベイシア(群馬県)が同サービスを通じて「ベイシアネットスーパー」を開始している。

 もう1つ現在のネットスーパー市場で見過ごせない動きが、新たなプレーヤーの存在だ。コロナ禍で一気に勢力を拡大した「Uber Eats(ウーバーイーツ)」やフィンランド発の「Wolt(ウォルト)」などのフードデリバリー各社が、食品スーパー(SM)やコンビニエンスストア(CVS)などの食品小売業と提携し、店頭の食材を数十分ほどで届けるクイックコマース(Qコマース)サービスが台頭。また、国内スタートアップ企業のOniGO(東京都)のように、自前でダークストアを設けて半径1~2㎞を対象に10分程度で商品を届けるサービスまで登場している。

 このようにコロナ禍での需要拡大によって、各社がネットスーパーの本格展開に乗り出し、さらには新規プレーヤーも登場したことで、事業の展開方法が多岐にわたり、まさに百花繚乱の様相を呈しているといえる。

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記事執筆者

大宮 弓絵 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

1986年生まれ。福井県芦原温泉出身。同志社女子大学卒業後、東海地方のケーブルテレビ局でキャスターとして勤務。その後、『ダイヤモンド・チェーンストア』の編集記者に転身。最近の担当特集は、コンビニ、生協・食品EC、物流など。ウェビナーや業界イベントの司会、コーディネーターも務める。2022年より食品小売業界の優れたサステナビリティ施策を表彰する「サステナブル・リテイリング表彰」を立ち上げるなど、情報を通じて業界の活性化に貢献することをめざす。グロービス経営大学院 経営学修士

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