Z世代の衝撃#4 Z世代を追えば敗北必至!取るべきトーキョー・ショールーム・シティ戦略とは

河合 拓
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人口のわずか13%!Z世代の取り込みに、うまみはあるのか?

Makidotvn/istock
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Z世代のマーケティング分析を複雑に語る前に、そもそも、このセグメントを日本のアパレルが狙い勝てるのか、事業としてうまみがあるのか、という視点がすっぽり抜け落ちている。多様な分析が横行しているが、アパレルもアナリストもコンサルも局所的視点から抜け出せていない。私の答えは上記通り「NO」だ。

考えて欲しい。ユニクロは銀座の旗艦店限定で品川の自社工場で生産された「Made in Tokyo(メイド・イン・トーキョー)」の3Dニットを販売した。これは、「ホールガーメント」という無縫製横編機を導入した、おそらくファーストリテイリング初の自社工場なのだが、私はあれば「冗談」ではないかと思っていた。理由はシンプルだ。日本のアパレル市場はすでに8兆円を割り込んでいる(矢野経済研究所によれば75000億円)。そして、その98%がオフショア生産だ。

このようにいうと、必ずでるのが「それは数量でしょ、金額はもっと少ないよ」という反論だ。ちなみに金額ベースでは約80%で、国内生産は20%しかない。例えば、アパレルの仕入は売上のおよそ半分、ユニクロのようにライトオフまでの期間が長い商品の場合はもっと多いかもしれないが、暫定的に2兆円とおいて売上の半分にすれば1兆円である。つまり、同社は毎年約1兆円を調達することになる。7.5兆円の20%は、1.5兆円だ。つまり、ユニクロが国内生産を開始したら、ほぼ国内に存在する工場がすべて埋まる計算になり、これはMDバランスや同社の価格などを考えれば不可能である。国内では、ニットのリンキングができないため、ユニクロからニット商品が消滅し、すべてが縫製によるカットソーとなるということからも現実性がない。

ユニクロがこんな簡単な計算をしていないはずもない。だから、「メイド・イン・トーキョー」の意味は、来るべきESG経営時代に備えた生産のトレーサビリティだという論調は、全く的外れとなる。

 

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