カインズが東急ハンズを買収した理由と気になる「東急ハンズ」店舗は今後どうなる?

雪元 史章 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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東急ハンズ店舗の“カインズ化”は否定も、屋号は変更へ

東急ハンズ 三宮店
東急ハンズの社名と屋号は変更される見込みだ(写真は東急ハンズ 三宮店)

 一方で気になるのは、東急ハンズ店舗の処遇だろう。東急ハンズは取り扱う商品の豊富さやユニークさ、そして専門的知識を持った店員による商品提案手法などにファンも多く、その独自性から一定のブランド力を有する。ネット上でも「『東急ハンズ』の名称はどうなるのか」「東急ハンズの店がカインズになってしまうのか…」といった声が聞かれるなど、一般消費者レベルではカインズによる買収に、戸惑いを感じている人も一部ではいるのも事実だ。

 これについて高家社長は、「(今回の買収は)東急ハンズを”われわれ(カインズ)の店舗”にするためのものではない」と繰り返し強調。2社のオリジナル商品を相互の店舗で展開するといった取り組みは検討するものの、「いちばんやってはいけないのは、中途半端な”ミックス”によってカインズと東急ハンズの尖っていた部分が丸くなること。そうならないようにお互いにいろんな議論を進めていきたい」(高家社長)とした。

 ただ、東急ハンズの社名と屋号については今後変更される見込み。「東急不動産HDさんから一定期間、店舗名(屋号)を使用することは了解いただいているが、(同社)グループを離れる以上、適切な時期に新たな屋号を検討する必要がある」と高家社長は言明。多くの人に馴染みのある「東急ハンズ」というブランド名は、遠からず消えてしまうことになりそうだ。

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記事執筆者

雪元 史章 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

上智大学外国語学部(スペイン語専攻)卒業後、運輸・交通系の出版社を経て2016年ダイヤモンド・フリードマン社(現 ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。企業特集(直近では大創産業、クスリのアオキ、トライアルカンパニー、万代など)、エリア調査・ストアコンパリゾン、ドラッグストアの食品戦略、海外小売市場などを主に担当。趣味は無計画な旅行、サウナ、キャンプ。好きな食べ物はケバブとスペイン料理。全都道府県を2回以上訪問(宿泊)。

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