個店経営ではビッグデータが役に立たない理由とデータの取り扱い方

島田陽介
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「傾向」を知るデータと「行動」のためのデータ

 個店経営の基本は、個店が、個客・品目・時間帯ごとの売れ行きデータから、カスタマーと商圏住民のデータを探り、その意味を考え、それを発注や提案に生かすことにある。だが、一般に有用なデータと信じられている、いわゆる「マーケティング・データ」のほとんどは、個店経営では役に立たない。逆に、店のカスタマーやその商圏住民のデータなど、一見無用なものと思われているデータが個店経営では役に立つことを知らねばならない。

 というのも、一般的には、全国の平均的な「傾向」を論じるのに便利なデータが、「データ」であると信じられているからである。全国平均のコンシューマーのデータ「家計調査」、マスメディアや評論家、学者、広告代理店、メーカーなどマーケティング関係者の拠って立つ、いわゆる世論・消費者・街頭意見などの「傾向調査データ」などがそれに当たる。

マーケティングのイメージ
一般に有用なデータと信じられている、いわゆる「マーケティング・データ」のほとんどは、個店経営では役に立たない。逆に、店のカスタマーやその商圏住民のデータなど、一見無用なものと思われているデータが個店経営では役に立つことを知らねばならない。 i-stock/NicoElNino

 しかし、個店経営、そして今後のチェーン経営に関する限りでは、これらビッグデータはまったく参考にならない。逆に個店・個客のデータは、全般の傾向を指摘するには、役に立たない。本質的に、ビッグデータは「傾向」を知るためのデータであり、「個店・個客データ」は「判断・決断・行動」を促すデータであって、この2つは本質的に異なるからだ。

 そのため、データ量が「ビッグ」であるゆえに役立つのは、「傾向」を知る場合に限られる。たとえば、コロナ禍で騒がれた「渋谷スクランブル交差点の人流データ」。仮にそれが「1万人」とする。このデータだけでは、その増減を見て一喜一憂するしかない。これを現実に役立たせるには、たとえば男女・年代に細分して見る必要がある。仮に、20代の男女がその人流の40%を占めることがわかったとすれば、そこで初めて具体的な対策を講じる「行動」に移すことができる。

 データの有効性は、量の多寡によってではなく、適切な「項目」でデータを分析することでのみ発揮できる。そしてデータ分析の「項目」を細密化すればするほど、データの量はビッグではなくなる。

重視すべきは「数字をもたらした理由」

 とくに流通業の場合は、店舗無人化、

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