日本の人口のわずか14% くら寿司があえて「Z世代」向けの店舗をオープンする理由とは?

2021/12/16 05:55
    榎森 順二
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    ついに販売開始、「オーガニックはまち」

     チャレンジ②「お寿司の安定供給」では、世界的な魚食ブームによる価格の高騰とコロナ禍による供給リスクという状況を踏まえて、「KURAおさかなファーム」(2021年11月設立 、大阪府/田中信社長)を通した養殖から販売までの一貫事業などで対応する。

     また同ファームは12月9日から、かねてよりくら寿司が注力してきた「オーガニックはまち」の卸売りを開始する。「オーガニックはまち」は、国際的基準を満たす日本初のオーガニックフィッシュとして認証されたもの。オーガニックに対する関心の高まりを捉えた施策で、全国のくら寿司店舗はもちろん、くら寿司初の卸売事業として一部流通店でも販売する。

    くら寿司 取締役副社長 田中信氏

     

    駅前出店、非接触強化が成功

     チャレンジ③「国内出店戦略」では、都心駅前への出店を加速・拡大する。従来くら寿司は、ロードサイドを新規出店の主要立地にしてきたが、21年10月期は国内の新規出店30店舗中14店舗を都心駅前に出店し手ごたえを感じたという。22年10月期も引き続き、新店舗の半数近くを都心駅前に出店する予定だ。また、チャレンジ④「海外出店戦略」では、23 年中に海外100店舗体制を目指す。21年10月期の積極出店を踏まえ、海外店舗は総計75店舗(米国33店舗、台湾42店舗)に達している。

     チャレンジ⑤「コロナ対策」では、非接触オーダーシステム「スマートくら」を12月17日までに国内の全店に完備する。使用を始めて10年になる寿司カバー「抗菌寿司カバー鮮度くん」は、コロナ禍においても特例として回転寿司レーンの使用許可を得る理由となった。22年10月期でも引き続き、くら寿司の安全安心のアピール材料としていく方針だ。

     チャレンジ⑥「SDGs」では、11月にスタートした小学校を対象とする出張授業を本格的に全国展開する予定だ。授業では「食品ロスの削減」や「豊かな海洋資源を守る」をテーマに、SDGsの理解促進と食育を図る。

     スシロー、くら寿司、かっぱ寿司など回転寿司業界上位各社はいずれも、コロナ禍においてもテイクアウトの需要増などで順調な業績を挙げてきた。アフターコロナが見えてきた22年からは、回転すし競争はさらに熾烈なものになるだろう。その中でくら寿司の「Z世代ターゲット戦略」がどう帰結するのか注目される。

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