【DDレポート】薬業4団体・JACDS 年頭所感(後編)

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恒例の業界4団体、日本チェーンドラッグストア協会(神奈川県/青木桂生会長:以下、JACDS)は東京都港区の「メルパルク東京」で年頭所感を発表した。各団体代表者の発言を抄録する(JACDS青木会長の発言はこちら)。

 

セルメの担い手として業界を堅持するべく規制強化を要望

日本置き薬協会 代表理事
有馬純雄 氏

 

日本置き薬協会
代表理事
有馬純雄 氏

 2018年5月31日、当協会と日本配置販売業協会は、厚生労働省医薬・生活衛生局に、業界を堅持するための規制強化に動いてほしいという内容の要望書を提出した。

 

 われわれは、09年3月31日付の厚生労働省医薬・生活衛生局総務課長通知を真摯に受け止め、09年度以降、毎年継続的に既存配置販売業者に課せられた一定水準研修・講習を実施している。

 

 当協会以外でも配置販売業者および団体ごとに研修を実施しているが、その実施体制・実施方法については統一されたものはなく、各業者・団体ごとに内容によって格差があるのが実態だ。

 

 また都道府県の役務主管課による管理監督業務においても統一感がなく、研修の修了者証を従事者証更新手続きの添付必須条件としている都道府県もあれば、必要要件が定まっていない都道府県もある。

 

 課長通知発布から9年が経過し、研修講習そのものが形骸化しているのではないかというほかの薬業団体からの指摘もある。われわれ既存配置販売業者の立場を堅持していくためにも、こうした業界内の乱れを是正すべく当局に動いてもらいたいというのが、われわれの要望だ。

 

 当協会においては、配置販売業者もセルフメディケーションの担い手として、今後とも医薬品販売を配置販売業として継続的に行っていけるよう、新たな配置販売業を模索してもいるが、まずはとにかく、要望書の内容の実現をめざし、年間を通じて業界を堅持するための取り組みを継続していく。

 

ドラッグストアは衣・食・住・健康をカバーする唯一の業態

日本チェーンドラッグストア協会 事務総長
今西信幸 氏

 

日本チェーンドラッグストア協会 事務総長
今西信幸 氏

 急激な高齢化社会の進展、国民医療費の高騰により、わが国における医療の本質が「保険にあらずば、医療にあらず。治療にあらずば、医療にあらず」から、「予防・治療・介護」にシフトしてきている。「治療」はこれまでどおり公的保険で、「予防」は私的負担、「介護」は公的と私的のミックスというかたちで、超高齢化社会の活路を見いだそうとしている。

 

 18年6月に急逝された宗像守前事務総長のあとを、ドラッグストア(DgS)に詳しくない私が引き受けたのは、「これから薬局が大きく変わる。処方せん調剤による治療中心から、予防・治療・介護に変わる。その大きな転換点に立ち会える」という理由からだ。

 

 これまで治療としての調剤しか手がけてこなかった薬局は、これからの医療の3分の1の機能しか備えていない。店の大きさ、規模を考えると、これからの医療をワンストップで担えるのはDgSだろう。

 

 運営コストがかかるが、薬剤師、登録販売者、管理栄養士が常駐しているDgSは、いつでも患者が相談できる身近な場所であり、医療にかかわる患者に最初に応える場でもある。

 

 多くのDgSが生鮮をはじめ食品を広く扱うようになり、食品スーパーやコンビニエンスストアなどとの競争の時代に入っているが、DgSは、衣・食・住・健康をカバーできる唯一の業態だ。薬剤師が常駐していれば、小規模ガソリン、灯油を扱える可能性が残されており、過疎地対策、地域対策の切り札としても、期待できる。これからますます、JACDSとしての責任が大きくなっていくと考えている。

 

JACDS設立20周年のドラッグストアショーを盛り上げる

日本チェーンドラッグストア協会 第19回ドラッグストアショー実行委員長
杉浦伸哉 氏

 

日本チェーンドラッグストア協会 第19回ドラッグストアショー実行委員長
杉浦伸哉 氏

 2019年はJACDS設立20周年の節目の年だ。

 

 「第19回JAPANドラッグストアショー」では、「ドラッグストアが支える地域社会の健康」をテーマにした。副題には、第1回から掲げているセルフメディケーションを軸に「セルフメディケーションをもっと身近に」を掲げ、予防・医療・介護をカバーするドラッグストア(DgS)の役割について提案をしていく。

 

 とくに今年は出展者にも価値を感じてもらえるように、プレビュー商談会を大きく打ち出した。これは過去最大規模での開催になる予定だ。

 

 JACDSのテーマブースでは、20周年記念事業の紹介のほか、「食と健康」をキーワードにした、取り組み課題について提案、発表する。

 

 また、今回のJAPANドラッグストアショーにおける20周年記念事業として、特別企画「食と健康アワード2019 in ドラッグストアショー」を計画している。この企画は「食と健康」をテーマに、多くの食品メーカーさまが出展しやすいよう、「生活習慣病予防」「高齢者の食」を対象とし、これからのDgSとしての「食」の提案ができるようにしていきたい。

 

 今の社会はSNSの時代といわれている。ドラッグストアショーとしても、幕張の会場でこれからのDgSのあり方や役割を体感していただくだけでなく、一人ひとりのご来場者さまがメディアとしてSNS等を通じ、ドラッグストアショーの様子を世界に発信するような魅力を提供していきたい。

 

(前編はこちら)

 

『ダイヤモンド・ドラッグストア』 2019年1月15日号掲載

 

 

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