2018/12/15

『ドン・キホーテだけが、なぜ強いのか?』
坂口孝則(PHP研究所/1450円〈本体価格〉)



 国内小売業で今、最も勢いのある企業を挙げるとすると、必ずドンキホーテホールディングス(東京都/大原孝治社長)が入ってくるだろう。29期連続増収・営業増益という驚異的な数字を挙げている。今年10月にはユニー(愛知県/佐古則男社長)の買収を発表するなど、業界を驚かせた。

 ドン・キホーテの強みはどこにあるのか──。本書は売場づくりや組織論、決算などさまざまな視点で分析している。

 まず、圧縮陳列をはじめとする陳列方法や、深夜営業、インバウンド戦略などほかの小売企業にはあまりみられない、ドン・キホーテの強みとなる7つのポイントを挙げている。

 たとえば、陳列方法については、通常の小売店舗が行わない180㎝以上の高さを利用した「圧縮陳列」や、天井から紐を垂らしてその紐を使って商品を陳列する「吊るし陳列」、縦方向にカテゴリーごとの商品を並べて買物客の目を引く「縦陳列」などが紹介されている。陳列方法だけでなく、棚の配置や導線のつくり方など、買物客を「ワクワクさせる」売場づくりについて具体的に解説している。

 また本書では、ドン・キホーテが『「小売業」の先を突っ走っている』ポイントを説明する。そのなかで、他社との差別化ポイントの1つとして、「奇妙なデジタル戦略」があるという。クーポンの発行やSNS活用などふつうの小売企業が行っていることだけでなく、「遊びと不合理」を前面に押し出した「アミューズメントパークの企業」のような活用方法がドン・キホーテのユニークな点であると指摘している。

 国内小売業は同質化からなかなか抜け出せないと言われて久しい。異色の存在で快進撃を続けるドン・キホーテの強みを解説している本書には、それを打破するヒントが詰まっている。

(『ダイヤモンド・チェーンストア』2018年12月15日・2019年1月1日合併号掲載)

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