【東急ハンズ京都1号店】売場での提案力を強めリアル店舗の価値高める

2014/08/15 00:00
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東急ハンズ(東京都/榊真二社長)は6月19日、京都府京都市に「東急ハンズ京都店」(以下、京都店)をオープンした。商品の楽しさや使い方についての情報を積極的に発信するなど、提案力を強めた店づくりが特徴だ。
文=森本守人(サテライトスコープ)

 

コンセプトは「暮らしの作法」

 

 阪急電鉄京都線「烏丸」駅、および京都市営地下鉄「四条」駅から東へ徒歩すぐの場所に立地している。「東急ハンズ」は京都府初、関西圏では7店舗目。売場は4層構造、店舗面積は1000坪(各フロア250坪)の中規模店だ。

 

 京都店の店づくりについて、東急ハンズの榊社長は次のように説明する。「売場での提案に力を入れており、お客さまにとって新しい発見、気づきがある店をめざした。近年はAmazonをはじめネット通販が台頭してきているが、リアル店舗の価値を高めることで集客につなげたい」。

 

 店舗コンセプトは「暮らしの作法」。新たなライフスタイルを、古き良き習慣や伝統とも融合させながら、各フロアにある売場で提案している。商品はカテゴリーの枠を超え、関連販売するほか、使い方や楽しさについての情報を手書きPOPなどで積極的に発信する取り組みが店内の随所で見られる。

 

 特徴のある売場、コーナーを順に紹介すると、1階フロアではバッグをはじめとする皮革製品のほか、それらのお手入れ製品を集積させた「MY STANDARD」(マイスタンダード)コーナーがある。修理やケア用品の品揃えがとくに豊富で、モノに対する“愛着”が増すような売場をつくっている。

 

 2階フロアで特筆すべきは化粧品売場の「はんなりはん」。京都のブランドを含む、スキンケアを中心としたブランドを充実させた。「ビューティーコンシェルジェ」という、社内研修を受けた女性スタッフが常駐、お客の商品選びをアドバイスする。

 

 3階は、コーヒー関連商品を集めた「COFFEE HOUR」(コーヒーアワー)がある。コーヒーを入れるポットやコーヒーミル、カップ、書籍など、専門的な品揃えをし、暮らしが楽しくなるような商品を集めている。ユニークなのは、スタッフがコーヒーを入れる有料サービスを行っている点だ。楠泰明店長は「目の前でコーヒーをドリップするので、お客さまにも器具の使い方がわかるはず。少しでもコーヒーを入れる楽しさを伝えられたらうれしい」と話す。

 

 4階の文房具売場では、ペンなど筆記具を豊富に販売する「カクカクカケル」コーナーを設置。どの商品も試し書きができる、選ぶ楽しさも魅力だ。

 

ネット通販との連動も

 

 リアル店舗ならではの提案、見せ方に力を入れるが、一方、ネット通販と連動させることでリアル店舗の利便性を高める取り組みもある。

 

 たとえば、家庭からネット経由で注文した商品の受取先を店舗に指定することもできる。また京都店の一角にはパソコンが設置してあり、売場にない商品はお客自身がネットで店舗に取り寄せることも可能だ。京都店の取扱アイテム数は約5万と大型店の半分以下だが、品揃えの不足分をネットで補完する意味もあるようだ。

 

 これらの店づくり、サービスによって京都店では初年度の売上目標を20億円に設定している。楠店長は「京都にある東急ハンズとして、特徴を出せるような店舗運営をしていきたい」と意気込みを見せる。

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