第17回【“産活”市場】女性の体をサポートするサービスに商機

2010/08/12 00:00
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 女性の社会進出が急速に進むなかで、結婚、出産の年齢が遅くなっている。厚生労働省の人口動態統計によると、35歳以上49歳以下の母親から生ま れた子どもの人数はおよそ23万人(2008年データ)に。一年間で生まれた総数が109万1156人のため、約2割が高齢出産で生まれた子どもたちとな る。

 

 男性なみに仕事をしてきて、ふと気づくと30代。いずれ結婚をしたいと考えているが、それ以前に「結婚したのち、子どもが産めるのだろうか」と漠 然とした不安を抱えている女性は少なくない。そのため婦人科検診を受けて、自らの体の状態を把握しておきたいという“産活”女性がジワリと増えているよう だ。

 

 「忙しい女性は、検診に行く時間も取れないのが実情。ホテルの宿泊とセットにすることで、レディスプラン感覚で利用してもらえれば」(ホテル西洋 銀座マーケティングマネージャー・田渕美千枝氏)と話すように、東京・銀座の「ホテル西洋 銀座」では、昨年11月から婦人科検診と宿泊をセットにしたプラン「Recharge」(リチャージ)を販売している。

 

 ホテルからほど近い、ウィミンズ・ウェルネス銀座クリニックと提携しており、チェックイン日もしくはチェックアウト日に同クリニックで約2、3時 間の検診を受けるという内容で、プレ更年期ウェルネスドック(30~40代向け、11万円)は、問診票を基にした総合健康相談や子宮頸がん検診、経膣超音 波、マンモグラフィー、甲状腺機能、尿検査、骨密度など、通常の健康診断プラスαの検査が受けられる。

 

 またホテルでは、同クリニック監修のもとでデトックス効果を重視して開発した、ディナーメニューを楽しめ、朝食も人参とセロリのフレッシュジュー スや全粒粉のトースト、緑黄色野菜やイソフラボンなど、女性の体に必要な栄養素を取り入れたものを用意し、ホテルならではのリラックスした時間を提供する 内容になっている。

 

 同プランは、差し迫っていまは不調があるわけではないけれども、自分の体のことを知っておきたい。検診のついでにゆったりとした時間を過ごして体 も心もリセットしたいという利用のされ方が目立つ。9万~13万円と高額なプランにもかかわらず、半年間で10組以上が利用しているという。

 

 そのほか、生理日予測や、排卵予定日、基礎体温の管理などができる、女性のための携帯サイト「ルナルナ」も、有料会員が6月時点で170万人を突破。身近な携帯電話というツールを通して、自身の体の管理をし、将来に備えておきたいという女性の意識が透けて見える。

 

 このような時流から、DgSを筆頭に、H&BCを軸とした売場構成で女性客をメーンとしている小売業にとっても、産活を含め、更年期障害に備えた体のケアなど、女性の体のサポート機能を持つことは、顧客化の一つの武器になるだろう。

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