第16回【AJD40周年記念大会】協業から協働へ 新執行部が決意表明

2010/08/06 00:00
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 6月中旬、東京都内のホテルで、医薬品ボランタリーチェーンの草分けといわれるAJD(オールジャパンドラッグ)の創立40周年記念大会が開かれた。

 

 会場には、AJDの加盟企業や取引先、報道陣など、約420人が顔を揃え、2期4年に及んだ皆川体制の活動報告と、新たに就任した江黒純一本部長の基本方針に耳を傾けた。

 

 皆川友美前本部長は、「一人ではできないことをみんなの力で」というAJDの基本理念を強調。40年に及ぶAJDの歩みを振り返り、組織の運営形態をブロック制からグループ制に切り替えた真意を熱っぽく語った。

 

 「われわれがめざすのは、地域に根差した“かかりつけ薬局”です。ただ、時間の経過とともに、企業規模に格差が生じ、ブロック単位で活動を続ける のが困難になってきた。そこで規模や理念を同じくするメンバーがグループを結成し、それぞれの立場でAJDの活動にかかわってもらうことにしたんです」

 

 AJDは、もともと薬局・薬店の有志が集まって、53社/560店でスタートした。その後、薬局・薬店からドラッグストアへの業態転換に伴って、加盟企業が増大。1995年のピーク時には、242社にまで組織が拡大した。

 

 だが、2002年以降の企業統合時代に突入すると、加盟企業が激減。現在、141社/4900店の規模でオリジナル商品の開発やローカルブランドの育成、メーカータイアップの販促活動などを手掛けている。

 

 AJDの転換期に舵取りを行った皆川体制は、グループ制の導入とともに、ボランタリーチェーンの本部に加盟社支援委員会を設置。医療部会や CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)研究部会、カウンセリング部会、次世代育成部会といった活動を通じて、地域密着型の多機能薬局に 欠かせないビジネスモデルを構築。商品展示会などで、加盟企業や取引先にAJDの基本的な考え方を示してきた。

 

 第15代の本部長に就任した江黒純一氏は、フェニックスというコアグループのグループ長を務め、40周年記念大会の実行委員長を引き受けている。実直な人柄で、会員企業や取引先の信任も厚い。

 

 本部長就任の挨拶に立つと、「進化 深化 信化」という大会のテーマにのっとって、新執行部の基本方針を説明。加盟企業だけではなく、取引先や地域生活者の信頼を勝ち取るための指針として、4つの課題を提示した。

 

 まず第1に、販売力の結集。2番目が、グループ力の強化。3番目が、次世代ビジネスモデルの研究・開発。4番目が、物流・情報システムの強化。そして最後にAJDの方向性をこんな言葉で締めくくった。

 

 「改正薬事法の施行に伴って、ドラッグストアは大競合時代を迎え、地域医療との連携を強化していかなければなりません。地域医療の担い手、あるい はセルフメディケーション(自己健康管理)の専門家集団として、加盟企業が力を発揮できるように、ボランタリーチェーンの機能を強化していきたいと考えて います」

 

 医薬品ボランタリーチェーンの展開は各所で問題を投げかけているが、AJDは皆川体制のもとでメンバーの再結束を図り、協業から協働へといった新 たな方向性を打ち出すことができただけでも、幸運なのかもしれない。だが、詰まるところ新生AJDの真価が問われるのは、江黒新体制の舵取り次第というこ となのだ。

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