卸各社が決算を発表、直接取引が増加するなか役割と機能を強化

ダイヤモンド・ドラッグストア編集部
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 医療用品の卸各社が決算を発表している。メーカーとの直接取引が増加するなかで、商品提案や開発、店頭プロモーションなど高付加価値の機能 を強化する取り組みが目立つ。今年6月には改正薬事法が施行されたことにより、今期は他業態にも取引を拡大しようとする動きも出ている。

 あらた(千葉県/畑中伸介社長)は営業赤字となったが、わずかながら純利益を確保した。部門別売上では、消費者の買い控えが影響し、家庭用品部門が前期割れしたものの、主力のパーソナル・ヘルス・化粧品部門が堅調に推移。ペット・その他は前年同期比5.7%増となった。

  同社では商品カテゴリーマネジメント機能の強化を図るため、昨年9月にタカマツヤとの共同出資により株式会社アドグッドを設立し、開発するプライベートブ ランド(PB)商品「アドグッド」の開発を進めている。PBを持たない小規模のドラッグストアや、スーパーマーケット向けに販促を強化。自社の取り扱いア イテムを効率化するとともに、NBにはない機能や容量で差別化を図る。

  大木(東京都/松井秀夫社長)は中期経営計画で打ち出した経常利益率1%の目標を達成できなかった(前期は0.51%)が、増収増益を確保した。売上高が 順調に伸びた要因は、主力の医薬品が前年同期比13.3%増となったほか、健康食品が同比19.4%増、衛生医療・介護・オーラル用品が同18.4%増、 化粧品その他が同比28.7%増で、「医薬品にこだわらないスタンスが成功した」(松井秀夫社長)という。

  増益要因では対売上高販売管理費率が改善されていることに注目したい。2005年3月期は9.6%だったが、前期は8.8%まで改善。とくに物流費とその 他販管費を合わせた比率は6.89%から5.75%まで削減しており、早期に5.5%まで引き下げる「5.5プロジェクト」を完遂させたい方針だ。ここ数 年続く卸業界の合従連衡により、全国流通に対応できる一般用医薬品の専業卸として、生き残りをかけている。

  また、国内卸最大手のメディセオ・パルタックホールディングス(東京都/熊倉貞武社長)は、増収減益となった。医療用医薬品等卸売事業では、昨年4月1日 に薬価基準が5.2%引き下げられた影響もあり、売上高は前期比2.0%増加したものの、営業利益は同比72.3%と大幅に落ち込んだ。

  化粧品・日用品、一般用医薬品卸売事業では、昨年4月に完全子会社であるパルタックKSとコバショウが、昨年8月にはエイコーを合併する(今年4月1日に 株式会社Paltacに商号変更)など、効率化を推進した。消費者の買い控えにより苦戦するも、売上高は前期比32.7%増、営業利益は14.6%増加 し、医療用医薬品等卸事業の営業利益を上回った。

 なお、昨年10月にはアルフレッサ ホールディングスとの合併の基本合意書を締結したが、公正取引委員会の審査期間が長引き、統合効果を早期に実現することが困難なため、今年1月には合意を 解約。今年10月には事業持株会社体制から純粋持株会社体制へ移行するため、完全子会社の医療用医薬品等卸事業会社6社を統合する方針で、グループ内で一 層の体質強化を図る方針だ。

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