「ネーミングはプロモーションの一番の手段です」と話していたのは、ハウス食品グループ本社の浦上博史社長だ。
だからというわけではないのだろうが、同社のロングセラー大ヒット商品にも不思議な名前が数多くある。
「ハウス バーモントカレー」(1963年発売)
「ハウス ジャワカレー」(1968年発売)
「ハウス ククレカレー」(1971年発売)
当たり前のように存在し、市場にも完全に定着している商品なので違和感はないのだが、突き詰めてみれば・・・
「米国バーモント州とカレー?」
「ジャワとカレー?」
「ククレ? カレー」
と突っ込みどころ満載で疑問だらけのネーミングであると言えないだろうか?
そんなことを考えているのは、私だけではないらしく、ハウス食品には、これらの名前の由来を教えてほしいという質問が殺到しており、同社はサイト上で回答している。
https://housefoods.jp/inquiry/qa/answer_09_01.html
https://housefoods.jp/inquiry/qa/answer_09_02.html
https://housefoods.jp/inquiry/qa/answer_09_03.html
さて、昨年日本でも公開された『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』は、マクドナルドを世界最大のファーストフードチェーンに成長させたレイ・クロックを描いた映画だ。
なぜ、レイ・クロックは、創業者のマクドナルド兄弟からの繁盛店買収に強欲になり、悪魔になったのか?
ひとつは、店頭で効率的にハンバーガーを製造できる「スピード・サービス・システム」を構築していたことだ。低コストで高品質の商品を大量製造できる革新的なシステムだった。
そして、もうひとつ。それは「マクドナルド」という店名そのものにある。
「“マクドナルド”。なんていい響きなんだ。“レイ・クロック”という名前のハンバーガー屋は食指をそそらないが、“マクドナルド”は素晴らしい」。
言葉の細かなニュアンスについては分からないけれども、“マクドナルド”という名前と食との親和性の強さが大きいことは理解できる。
やはり、ネーミングとは、上位に位置するプロモーション要素なのである。
最近は、小売業も本格的なPB(プライベートブランド)づくりや総菜などにもオリジナルの名前をつけているようだが、簡単につけるべからず。名前ひとつで、売れ行きが大きく変わる可能性はある。