「正しきによりて滅ぶる店あらば、滅びてもよし、断じて滅びず」。
故新保民八さんの名言である。
しかし、この内容を真っ向から否定する経営者にお会いした。
「この言葉は、100年や1000年単位の精神論で言えばそうかもしれない。世の流れに逆らって、正直に正義を貫いた、なんと立派な経営者がいたことかと、つぶれてから何年もたって思い出される」。
「実際、正しきによりて滅んだ店は、たくさんあった。私の競争相手も、次々と消えていった。でも、滅んだらそれっきり。従業員は路頭に迷い、誰も思い出しはしない」。
「何を正しいとするかは人それぞれだと思うし、犯罪のような悪事に手を染めてまで生き延びるならつぶれた方がよいという考え方もある」。
「だからこそ、正しい商売をしたうえで、滅んだらいけない。そのためには、儲けなければいけないのである」。
と言った。