三菱食品(東京都/井上彪社長)の原正浩執行役員マーケティング本部長兼戦略研究所長は、「2015年の総括と2016年の展望について」、所見を語った。
現在の環境認識として、メガトレンドを
・労働人口減による人手不足
・女性の社会進出による家事の外部化簡便化
・スマートフォンのインフラ化(簡易決済、オムニチャネル時代の到来促進)
・都市と地方の格差拡大
・長命化による健康志向の高まり
・業態間競争の激化による食品スーパーの総菜・即食強化
・小型店の増加
・原料高騰
とし、今後の動きとして、
① 格差の拡大(低所得化)
② ターゲットの多様化
③ ボーダーレス(業態・業界の垣根崩壊)
④ グローバル対応(インバウンド、TPP)
を予想した。
そして、2016年の消費のキーワードとして、
① 健康 【減塩】【機能性食品】
② 格差 【MYロイヤル】【ハレ未満ケ以上】【都市と地方】
③ ボーダーレス 【コンビニエンスストアとミニスーパー】【TPP】【インバウンド】【間食】【女性の社会進出】【ダイバーシティ】【電力(小売り完全)自由化】
④ シニア・介護 【トータルミールソリューション】【2025年問題】
を掲げた。
その中で、私としてもっとも興味深かったのは、格差拡大である。
「高齢者の増加や正社員が減少する一方で年収が比較的低いパートやアルバイトが増加している。この影響により、低所得化が進行している」(原氏)。
実際、国税庁の「民間給与実態統計調査」(2014)によれば、「平均給与額比率」は、年収300万円以下が40.8%、同500万円以下が31.3%、同700万円以下が15.4%、900万円以下が6.6%、同1500万円以下が4.8%、同2000万円以上が1.1%となっている。
「食品スーパーの方々は、主要顧客層として『所得の低い人』を考えたことがなかった。しかしながら、今後は、ここがボリュームゾーンになることは間違いないので、注目し対策を打つべきだろう」という原氏の言葉にうなずいた。