ファンケル(東京都/宮島和美社長)の2015年3月期の実績は、売上高776億3200万円(対前期比4.3%減)、営業利益40億100万円(同1.5%増)、経常利益42億8300万円(同0.5%増)、当期純利益23億100万円(同71.3%増)の減収増益で着地した。
「駆け込み需要の反動が売上高でマイナス18億円、営業利益でマイナス10億円あったが、それは想定内」と宮島社長は振り返り、感想を述べた。
周知のように、ファンケルは、2013年1月に創業者の池森賢二氏(現・会長)が経営に復帰後、構造改革の大ナタを振るった。
主な構造改革を列挙すると…
① 赤字部門の解消(エステ事業売却、台湾・シンガポール小売事業撤退、不採算店舗整理)
② 消費者視点の徹底
③ 専門家の養成
④ 外部依存体質からの脱却
⑤ 持ち株会社への移行
⑥ 店舗の改革(新業態店舗「ビューティハウス」×「ヘルスハウス」=「ハイブリッドショップ」の成功)
⑦ 流通分野への積極的進出
⑧ 従業員のモチベーション向上
など、多岐にわたる。
その結果、ファンケル化粧品の国内売上高は、池森会長復帰前に比べて10%増。サプリメント事業の国内売上高は、2014年9月以降、回復カーブを描くようになった。
とくに注目しておきたいのは、⑦流通分野への積極的進出だ。
この間、同社は、ローソン(東京都/玉塚元一社長)の約1万1500店舗に加え、ドラッグストア約7700店舗への化粧品卸を開始した。
また、セブン&アイ・ホールディングス(東京都/村田紀敏社長)グループとは、「セブンライフスタイル」のPB(プライベートブランド)として、「ボタニカル フォース」を開発。2014年11月から同グループの約1万7250店舗での発売をスタートさせた。
健康食品(サプリメント)では、導入店舗が拡大。ドラッグストア、コンビニエンスストア、GMS(総合スーパー)、食品スーパーなど2015年3月末時点で4万7316店舗。2年前と比較して1万6000店舗の増加が図られた。
「2018年3月期末までにはサプリメント取扱店を6万店舗にまで拡大したい。その達成に向けては、(現在は取引の少ない)食品スーパーへのアプローチも強めていきたい」と稲葉豊和ファンケルヘルスサイエンス流通営業本部長は抱負を語っている。
さて、大規模なリストラを終えたファンケルは、2016年3月期から「新中期3カ年計画」をスタートさせる。
大方針は、「広告投資を最大活用し、5年間での売上倍増」だ。
この達成に向けての具体策として、通常の広告費とは別に3年間で化粧品に約50億円、健康食品に約150億円の追加広告費の計上。広告効果を最大化するために、流通・店舗チャネルの拡大。通信販売と店舗のクロスセルの強化、を挙げている。
2018年3月期末の連結売上高1250億円、同営業利益100億円を目標に据え、さらに2020年3月期は同売上高1500億円以上、同営業利益200億円を目指し、スタートを切った。