外食産業界には、凄い舌を持つ経営者がいる。
たとえば、ラーメンやレストランなどの上場外食チェーンのオーナー経営者は、自分の味に絶対の自信を持ち、成功を獲得してきた。だから、自分の舌を信じて、自分が許可したものしか商品化しない傾向が強い。
古い話だが、城山三郎さんの小説『外食王の飢え』のなかで、ロイヤルホストの創業者江頭匡一さんをモデルにした主人公は吐きながら試食を繰り返していた。
鬼気迫る鍛錬が創業者たちの舌をより鋭いものにしていったのだろう。
では、最近、総菜に力を入れている食品スーパーの経営者はどうだろうか?
総菜のスペシャリストとして現職に登り詰めたトップのような例外は除くとして、トップの舌が社内で一番肥えている可能性は、確率的には低いと言わざるをえない。
もし、トップがそのことに気付いているのであれば、総菜の試食会には積極的に参加しながらも、意見はあまり言わないほうがよいという考え方もある。
トップが意見してしまうと、あとは誰も反論できなくなってしまうからだ。
ただし、トップが外食企業の創業者のように鍛錬を積むことで、社内一の舌の持ち主になっている可能性も否定できないから、一概には何とも言えない。
しかも、製造小売業のトップが味を決定し、開発商品に責任を持つことは、当然のことだ。
この矛盾に対して食品スーパー企業は、いかに対応いくのかに注目している。
トップには否決権のみを持ってもらうことも考えられるが、では、その際に可決権は誰が持つのかということを考えるとわけわからなくなってしまう。
何とも、歯切れが悪くて申し訳ありません。
※明日は終日外出するためBLOGをお休みします。