「わが社の成長エンジンは出店にある」と決算発表会の席上で改めて公言したのはスギホールディングス(愛知県/桝田直社長)の杉浦広一会長だ。
しかしながら、同社の2015年2月期の出店実績は、建築資材高騰のあおりを受け、関東18店舗、中部21店舗、関西20店舗の合計59店舗と83店舗の計画数値には未達。退店が27店舗あったため、期末合計店舗数は947店舗だった。
「採算の取れる物件を吟味しなければいけないので合格基準を上げざるをえない」と店舗開発責任者を兼任する杉浦会長は口惜しさを滲ませる。
ただ、2016年2月期の出足状況は順調で計画する80店舗のうち、すでに上期に20店舗、下期に40店舗の出店が確定している。
「年間で開発物件は1000件もの持ち込み情報があるので採算さえ度外視すれば100店舗くらいなら簡単に出店できる。ドラッグストア業界には量を優先させるがあまり、そういったケースも散見できるけれども当社は追従しない」と杉浦会長はきっぱり。
店舗網拡大に当たっては、過去にディスカウントストアのジャパンや同業の飯塚薬局などを傘下に収めてきた同社だが、現在、M&A(合併・買収)には、以前ほど意欲を見せていない。
「規模拡大は大事だが、企業間が融和するまでの労力と時間を考えると、M&Aは難しい。もちろんチャンスがあれば実施することもある。また、社運を賭すほどに重要なM&A案件も出てくるだろうからキャッシュは確保しておきたい。だが、統合の苦しみを考えると自力での出店を重視したい」(杉浦会長)。
なお、今後全店舗数の1割くらいは、同社が“核店舗”と呼称する店舗にする。
売場面積200~300坪で、調剤室を備え、その前には待合スペースを設け、地域の健康相談や病気予防相談に応じることができる店舗。「地域のコミュニティスペースを含め拠点化したい」(杉浦会長)。第1号店で2013年にリロケーションして開業したスギ薬局熊味店(愛知県西尾市)では、以前と比べ、調剤で30%増、その他の部門も全体的に伸びている。
スギホールディングスの2015年2月期の業績は以下の通り。
●売上高 3836億4400万円(対前期比5.1%増)
●営業利益 208億6100万円(同3.8%増)
●経常利益 219億100万円(同0.2%増)
●当期純利益 128億6200万円(同0.3%増)
●既存店舗売上伸長率(同1.8%増)〈調剤同13.0%増、スギ薬局物販同横ばい、ジャパン同2.2%減、客数同1.9%減〉