リコー(東京都/三浦善司社長)は、この2月、「流通/サービス業」向けに新しい機種のプリンターを発売した。
「RICHO SP 6400」シリーズと「ROCHO SG 3100KE」シリーズだ。
細かなスペックは割愛するが、「RICHO SP 6400」シリーズの最大の特徴は、LEDヘッドの採用によって圧倒的なコンパクトサイズを実現したことにある。小型店舗の窓口など手狭な場所にも設置が可能でほとんどの操作は前面で実施することができる。
一方、「ROCHO SG 3100KE」シリーズの何よりのセールスポイントは「堅牢」なことだ。製品名の末尾にある「KE」とは「堅牢エディション(KENROU EDITION)の略というほど。A4サイズのみの固定トレイを採用して、紙詰まりをさせないために十重二重の工夫が施されている。
「手狭な店舗バックヤードではプリンターなどの精密機器は粗雑に扱われがち。給紙の際に誤ってトレイを落としてしまうこともしばしばありますから故障しにくい堅牢な設計が必要になります。しかも店舗では、10代のアルバイトから70代のパートさんまで幅広い年代が使用し、最近では外国人労働者の方も増えているのでシンプルな機能が求められています」(リコー)。
これら2機種のプリンターは、3月3日~6日まで開かれた展示会「リテールテックJAPAN」(@東京ビッグサイト)での反響もよく、発売以来の滑り出しも好調だという。
製品機能の日進月歩ぶりには驚かされるところだが、それ以上の驚きは、リコーがプリンターを「流通/サービス業」、「官庁・自治体」、「金融機関」、「医療機関」といったように業種業態別に機能をトレードオフして製品開発している点だ。
たとえば、「官庁・自治体」向けならば用紙対応力や高生産&高耐久を実現。「医療機関」向けは、歯科における歯の切削から発生する粉じん対策を考慮した上で製品開発に当たっているというのだからすごい。
お客をセグメント化することで、プリンターというある種の成熟製品をつくり直し、プライスダウンして、提案提供することで市場の維持拡大を図っているわけだ。
このアイデアを食品スーパーのコロッケやとんかつに転用するならば、「幼児向け」、「OL向け」、「学生向け」、「シニア向け」、「生活習慣病向け」…などの切り口が検討されてもおかしくないことになる。