下手な味方は敵より怖い。
と雑誌の対談で話していたのは、1985年に阪神タイガースを21年ぶりのリーグ優勝と初の日本一に導き、野球のフランス代表監督として“ムッシュ”の愛称を持つ吉田義男氏だ。
確かに野球では、下手な味方がチームの勝敗に与える影響が大きい。
ここぞというという大事な場面で、凡ゴロや凡フライをエラーしたり、フィルダースチョイスをしたり、暴走をしたり、バントサインを見逃したり…下手な味方によって意気消沈とさせられ、勝てるゲームも落としてしまう。
一方、敵に対しては、背中を向けることなく正面から対峙しているわけだから、力負けをすることはあっても、それは納得のいくものだ。
ただ、野球の場合は、下手な味方をレギュラーメンバーから外したり、二軍に落としたり、場合によっては契約を更改しないなどの対策を打つことができる。
これが会社員や公務員となると、そうはいかないから厄介だ。
凡ミスを頻発しても、練習をしなくても、ベストプレイを心掛けなくても、指示を無視しても、よほど目に余ることがない限り、下手な味方は、プロ野球選手のような処遇を受けることはない。
自然と、いまのポジションに胡坐をかいてしまうような会社員や公務員は増殖していくだろう。
――などと、他人事のように評論することは簡単だが、私自身を顧みて、「下手な味方は敵より怖い」と言われないように努めたい。