IoTとはInternet of Things(インターネット・オブ・シングス)の略。世の中に存在するさまざまなモノ(=Things)に通信機能を持たせ、インターネットに接続し、情報をやり取りするという概念だ。すでに冷蔵庫や洗濯機、炊飯器のような家電製品、自転車、クルマ、メガネ、住居…さまざまなIoT型商品が上市されている。
最近の注目は、アップルコンピュータの「アップル ウォッチ(Apple Watch)」だ。身に着ける(=ウエアラブル)腕時計に通信機能を持たせ、「タイムキーピング」だけではなく、「健康管理」などもしてくれるという優れものである。詳細は今のところ明らかになっていないが、この4月にベールを脱ぐ。
時計だけでなく、スポーツの分野では、IoTはずいぶんと出てきている。
たとえば、ランニングであれば、シューズに通信機能を持たせることで、走行距離や消費カロリーの計算、心拍数などを記録し、データとして蓄積できるような商品も販売されている。
けれども、私の趣味であるテニスの世界では、IoTは、まず関係ないと考えていた。
だが、さにあらずであった。
ダンロップスポーツ(兵庫県/野尻恭社長)と日本での販売総代理店契約(ウエアを除く)を結んでいるバボラVS(フランス/エリック・バボラCEO〈最高経営責任者〉)が通信機能搭載テニスラケット「バボラプレイ ピュア ドライブ ジャパンリミテッド」(7万円+税)を発売していたのだ。
ITF(国際テニス連盟)公認を取得しており、プロの公式戦での使用も可能だ。
「バボラプレイ ピュア ドライブ ジャパンリミテッド」は、ラケットのグリップ部分にセンサーを内蔵。スマートフォンやパソコンなどの端末機器にワイヤレス接続することで、ストローク、サーブ、スマッシュといったプレー内容をグラフや数値で可視化する。
これらのデータは、インターネットを通じ、他のユーザーとの共有が可能で、登録すれば、自分の世界ランキングを確認したり、他のユーザーやトッププロと自分の技量を比較することもできる。
テニスラケットがIoTになることは本当に驚きだが、こうなってくるともう何でもありのような気がする。
その結果、従来では考えられなかった面白く興味深い情報やデータをたくさん得られるようになるはずだ。
ただ、大事なことは、そこから得られたデータや情報に目を配りながらも、振り回されない自分を持つことだろう。
※『チェーンストアエイジ』誌2015年3月1日号の特集は、「小売業IT白書2015」です。ぜひ、お読みください。