もう10年、20年以上前の話になる。
上場直後のトップインタビューで「(上場は)私の長年の夢だったんです。もう死んでもいい」と言った創業者がいた。
また、あるオーナー経営者は、同族経営の終焉に際して「もうどうなってもよろし。後は次の方に任せた」と言った。
当時、これらの発言を掲載すべきかどうか迷ったのだが、散々逡巡した末に、従業員の方の士気が低下するかもしれないことを考慮して見送ったことを鮮明に覚えている。
「経営(政治)は言葉である」は私の持論。実際、企業の姿勢は経営者の言葉の端々に現れるものだ。
夢や方向性を熱く語り続けることは大事だが、こんな投げやりな言葉は経営者ではなくとも組織の長である限り控えたい。
言霊とは恐ろしいもので、その2つの企業は、その後、ともに買収されてしまった。