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世の中には成熟市場は存在しない

 コンビニエンスストア(CVS)が好調だ。

 日本フランチャイズチェーン協会(東京都/山本善政会長:JFA)が2015年1月20日に発表した「CVS統計年間動向」(JFA正会員10社)によると、2015年度の年間売上高は9兆7309億円(対前年度比3.6%増)。総店舗数は大手企業の大量出店によって同2479店舗が加算され2014年末時点では5万1814店舗と初の5万店超えとなった。

 既存店は4月以降の消費税増税後の“駆け込み需要”の反動が響き、同0.8%減となっている。

 

 確実に規模を拡大するCVS市場ではあるが、振り返れば、順風満帆と伸びてきたわけではない。

 2007年度まで8年間にわたって既存店舗はマイナス成長。2008年度は、“タスポ(成人識別ICカード)効果”で既存店舗は同7.1%増となったものの、2009年度、2010年度の既存店舗は再び前年割れを喫した。

 

 しかしながら、2011年度に起こった東日本大震災を契機に、ライフラインとしての機能が再び見直されるとともに、それまで開拓に努めてきた主婦などの女性層や高齢者(買い物難民)層からの支持を獲得、さらに生鮮食品の取り扱い強化、パウチパックや冷凍食品総菜の開発、100円コーヒー。そして2014年度はドーナツ、ピザの販売を開始するなど食品スーパーや外食産業の牙城を取り崩すとともに、新しい需要を開拓することで市場規模を拡大するに至っている。

 

 その牽引役を果たしているのは、日本全国に1万7000店舗超を展開するセブン‐イレブン・ジャパン(東京都/井阪隆一社長)であることは疑いない。

 

 CVS市場の15年を見ていると、世の中には成熟市場は存在しないと改めて実感させられる。フィリップ・コトラーの「われわれに必要なのは、成長の道筋を見出せる成熟した経営陣だ」という言葉をいま一度噛みしめてみたい。