ハウス食品グループ本社(東京都)の浦上博史社長は、「商品のネーミングはプロモーションの一番の手段」であると教えてくれた。
実際の商品を見ると、ハウス食品(東京都/工東正彦社長)の「バーモントカレー」「ジャワカレー」「とんがりコーン」やハウスウエルネスフーズ(東京都/井上始社長)の「ウコンの力」「ウコンの力 レバープラス」「メガシャキ」「黒豆ココア」など、とても斬新で切れのあるものが多い。
商品名とは、それほど大事なものなのである。
それだけにどの製造業もネーミングに際しては、非常に配慮しているようで、近年は、同業他社との差別化を意識するようなネーミングも増えている。
一般的な手法は、特異成分を含んでいることや特異製法を冠につけること。また、食感や本物感などを表す形容詞を置くことも多い。
それだけで、つい、つられて手を伸ばしてしまうだろう。
製造小売化が進みプライベートブランドの開発に余念がない小売業にとっても、こうした製造業の手法はとても参考になる。
「アグー豚でつくったとんかつ」「二重揚げ製法のメンチカツ」「さくさくコロッケ」「ほこほこ肉じゃが」など…。ふつうに「とんかつ」「メンチカツ」「コロッケ」「肉じゃが」として販売するよりも格段売れそうな気がする。
ただし、ネーミングが誇大広告と化すことがあることも考慮すべきだ。
とくに「大きい」「具だくさん」など商品の分量や大きさを謳う場合は、消費者の価値観に負うところが大きく、消費者のイメージと実際の商品との格差にがっかりさせられるかもしれない。
ネーミングは大事なプロモーションの手段なのだが、一歩間違うと「看板に偽りあり」ということにもなりかねないので要注意だ。