名誉棋聖の故藤沢秀行さんは、豪放磊落な棋風や破天荒な私生活で知られた鬼才だ。
東京都台東区入谷の小野照崎神社には2009年に逝去した藤沢さんの記念碑があり、以下のように刻まれている。
碁は芸である
碁には個性、生き方、
その人間のすべてがあらわれる
無限に続く芸の道は厳しいが、
ひたむきに歩む者は幸せだ
人間を高め、力をつけよ
自分にしか打てない碁を探求せよ
これだけは伝えたい
強烈な努力が必要だ
ただの努力じゃダメだ
強烈な、強烈な努力だ
藤沢秀行
大正一四年六月一四日生
平成二一年五月 八日逝
藤沢さんのTVドキュメンタリー番組をみて、この言葉の存在を知り、感銘を受けたのは、サッカー日本代表の新星である武藤嘉紀選手(22:慶應義塾大学)だ。
そののち、武藤選手は座右の銘を「強烈な努力」とした。
人の何倍も練習するところに活路が開けると今も自分を鼓舞し続けている。
11月23日(日)に《昭和の大横綱》大鵬の史上最多優勝回数32回に並んだ《平成の大横綱》白鳳(29)も同じような話をしていたので驚いた。
優勝決定から一夜明けた会見で心境を語り、「一つの努力ではダメだ。たくさんの努力があってこそ頂点に立てる」と力を込めた。
流通業界でも努力の大切さを力説する経営者がいる。
宮崎県都城市に本部を構える個性的なホームセンター企業、ハンズマンの大薗誠司社長(45)だ。
持論は「人の2倍から3倍の努力では追いつかれる。しかし5倍から6倍努力すれば、追いつかれない」というもの――。
“Genius is one percent inspiration, 99 percent perspiration.”
「天才は1%のひらめきと99%の努力」と残したのは、発明王のトーマス・エジソンだ。
汗水を垂らし、努力することを野暮ったいとする風潮が定着したような感さえあったけれども、ひたむきに泥臭く修練を重ねることの大事さは、若い世代にも確実に受け継がれているようで、とても心強く思う。