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バロー戦略(1)

 2015年3月期は、バロー(岐阜県/田代正美社長)の中期5か年計画の最終年度になる。

 過去5年にわたって同社は、店舗や物流センターなどのインフラづくりに多額の投資をしてきた。まず、順に振り返ってみたい。

 

【2011年3月期】

 新規出店:44 期末店舗数:494

 物流センター新設:一宮物流センター(愛知県)、焼津物流センター(静岡県)

 子会社新設など:中部開発、V-Drug International、セイソー、福井中央漬物

 

【2012年3月期】

 新規出店:41 期末店舗数:528

 物流センター新設:豊田物流センター(愛知県)

 プロセスセンター(PC)など新設:北陸畜産PC

 子会社新設など:VARO(韓国)、ファミリースーパーマルキ買収、オカノ合併、V-Drug香港、中部大誠

 

【2013年3月期】

 新規出店:45 期末店舗数:567

 物流センター新設:可児ドライセンター(岐阜県)、福井チルドセンター(福井県)

 子会社新設など:帥定アグリ、VMC、バローUSA、V-Drug美多康、中部ミート

 

【2014年3月期】

 新規出店:48 期末店舗数:601

 物流センター新設:可児チルドセンター(岐阜県)、静岡物流センター(静岡県)、ホームセンター物流センター、ペットフォレスト物流センター、中部薬品物流センター、中部流通明和センター(三重県)

 PCなど新設:可児青果センター、大垣畜産PC、福井畜産PC、福井水産PC

 子会社新設など:V Flower、郡上きのこファーム、バローファーム海津、ユース吸収合併、飛騨小坂ぶなしめじ

 

【2015年3月期】(予定)

 新規出店:50 期末店舗数:651

 物流センター新設:タチヤ(愛知県/森克幸社長)共配センター

 PCなど新設:中部フーズ静岡工場、静岡PC

 子会社新設など:中部フーズ、北欧倶楽部を吸収合併、東邦産業株式取得

 

 とくに食品スーパー事業関連の投資が多く、収益性は確実に改善している。「いい方向に動いている」と田代社長は満足げだ。

 たとえば、「青果加工」、「豆腐工場」、「総菜工場」などを一体化したプロセスセンター(PC)では、製造と物流の効率化が図られ、物流センターの新しいあり方としての自信作だ。

 

 今後、畜産部門は2015年8月に全店でのPC化を完成させる。

 水産部門は現在、北陸エリアの30店舗でPCを実験中。あと6か月ほど観察して、成果を見る。ただし、水産部門は限定したジャンルのみをPC化し、すべての商品を対象にするわけではない。

 農産部門のPC化も進んでおり、現在、店舗にはほとんど正社員を配置していない。

 

 バローの中期5か年計画は、《3つの歯車戦略》ということで進めてきた。

 すなわち、①事業規模の拡大、②製造小売業の推進、③現場力強化により小売業から流通業への質的転換と事業規模拡大の礎をつくる、である。

 

 結果は確実に出ている。

 5年前との比較では、

 

(1) 営業収益は3450億円から4780億円(見込み)に

(2) 経常利益は100億円から173億円(同)、当期純利益は40億円から94億円(同)

(3) 自己資本は580億円から900億円(同)(自己資本比率:33%→35%)

(4) ROE(自己資本利益率)は7.0%から11.7%

(5) 株価は760円から1774円、時価総額は400億円から900億円(9月30日終値)

(6) 配当は年間20円から33円へ

(7) 日本格付研究所による「A-」格付け取得、JPX日経インデックス400構成銘柄に選定

(8) 物流センター整備、生鮮プロセスセンターへの取組

(9) プライベートブランド商品開発の推進、製造小売業の推進、アグリビジネスへの参入

 

 もちろん課題もある。同社は、(ⅰ)収益性のさらなる強化、(ⅱ)マネジメント力の向上、(ⅲ)グループシナジーの強化を挙げている。

 

 これら課題解決も含め、同社は2016年3月期から新中期3か年計画をスタートさせる。

 なお、5か年計画の中核をなす《3つの歯車戦略》は継続する方針を打ち出している。

 

 (明日に続く)