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三菱食品の決算に見る業界トレンド

 三菱食品(東京都/井上彪社長)は、2015年3月期第2四半期の決算を発表した。

 4月1日の消費税増税後の食品流通業界のトレンドを如実に反映しており、大変参考になる。

 

 連結の品種別売上高は以下の通り。

 

●缶詰・調味料類 1318億円(売上構成比11.1%、対前期比2.8%減)

 消費税増税の駆け込み需要の反動減で不調だった

 

●麺・乾物類 721億円(同6.1%、同3.0%減)

 駆け込み需要の反動減に加え、生麺ブームが沈静化した

 

●嗜好品・飲料類 1336億円(同11.2%、同3.8%減)

 駆け込み需要の反動減に加え、また夏場の天候不順、2013年の猛暑の反動など、影響を受けた。機能性飲料の販売不振、また2013年のトクホコーラのヒットや果汁炭酸ブームの反動減があった

 

●菓子類 1262億円(同10.6%、同4.5%増)

 GMS(総合スーパー)やコンビニエンスストアとの取引拡大が続いている。健康志向の高まりで高カカオチョコレートやシリアル類の動きがよかった

 

●冷凍食品類 2210億円(同18.6%、同4.4%増)

 夏場の天候不順でアイスクリームの販売は不振。生鮮野菜の高騰を受け冷凍野菜の取扱拡大。簡便化志向の高まりにより業務用冷凍商材が伸長した

 

●チルド食品類 2366億円(同19.9%、同1.1%増)

 中食需要の高まりから総菜が引き続き好調。健康志向の高まりにより、野菜ジュースや乳飲料、機能性ヨーグルトなどの動きがよかった

 

●ビール類 1166億円(同9.8%、同9.4%減)

 駆け込み需要の反動減に加え、夏場の天候不順により大幅減少

 

●その他酒類 926億円(同7.8%、同2.0%減)

 マーケットが縮小傾向。また駆け込み需要の反動減で焼酎、清酒が不調だった。一方で低アルコール飲料が堅調だった。

 

●その他 576億円(同4.9%、同0.5%増)

 

 次に連結の業態別売上は以下の通り。

 

●卸売 1082億円(売上構成比9.1%、対前期比2.8%減)

 

●GMS(総合スーパー) 945億円(同7.9%、同0.5%減)

 

●食品スーパー 4429億円(同37.3%、同1.7%減)

 加工食品を中心に消費税増税の駆け込み需要の反動減と夏場の天候不順により減少

 

●コンビニエンスストア 3689億円(同31.1%、同1.6%増)

 カウンター商材の伸長や新規大量出店効果で好調だった

 

●ドラッグストア 458億円(同3.9%、同5.3%増)

 

●ユーザー 303億円(同2.5%、同6.5%増)

 

●その他直販(百貨店、ディスカウントストア、ホームセンター、EC事業者など) 819億円(同6.9%、同5.7減)

 ディスカウントストアとの酒類取引が減少

 

●メーカー・他 155億円(同1.3%、同6.8%減)

 

 なお、同期の業績(連結)は、売上高1兆1879億9400万円(対前期比0.6%減)、営業利益58億6400万円(同15.2%減)、経常利益70億7300万円(同7.8%減)、四半期純利益46億5600万円(同3.6%減)となった。

 

 三菱食品は、従来の商習慣を抜本的に見直し、提供機能と結果に応じた合理性のある取引形態への移行を推進。また、コスト構造を透明化して、取引採算を重視した新管理会計制度導入による可視化の実現。さらにメーカーなどとの物流・営業機能の合理化や三菱商事(東京都/小林健社長)との重複機能是正により、機能集約に向けたパートナーシップの構築を図ることで、流通の全体最適をめざす。

 

 そして、生鮮・デリカ領域でのマルイチ産商(長野県/藤沢政俊社長)との提携を推進したり、ECやギフトビジネスを拡大するなど、販売領域やチャネルの拡大に乗り出す。

 生産者と生活者ニーズのマッチングによって商品開発、商品発掘、共同企画の強化を進めるとともに、連結子会社再編により地域密着型のきめ細かな営業機能を再構築するなどビジネス領域の変革と新たな価値創造を図っていく。

 

 なお、通期予想は、売上高2兆4400億円(同2.2%増)、営業利益165億円(同5.2%増)、経常利益180億円(同4.8%増)、当期純利益110億円(同13.9%増)としている。