2014年10月1日、厚生労働省は、介護の必要がなく健康的に過ごすことのできる日本人の「健康寿命」について、男性71.19歳、女性74.21歳と推計、報告した。4年前の調査との比較では、男性が0.78歳、女性が0.59歳延びている。日本人の平均寿命は男性80.21歳、女性86.61歳なので現状は、「健康ではない余生」が男性では9.02年、女性では12.4年も存在することになる。
昔から「命あっての物種」と言われる。一方では、生活の質が著しく失われる中で長生きしても仕方ないという考え方もある。「長生き」と「健康」は同義ではないということだ。
そんなギャップを埋めるべく、米国では「Wellness(ウェルネス)」という言葉を使って、健康維持を啓蒙し推進する小売業が増えてきている。ウェルネスは、医食同源を自負する食品小売業だけの専売特許ではない。ドラッグストア、ホームセンター、コンビニエンスストア、スポーツ専門店、家電専門店…などそれぞれのフォーマットに応じて活用することが可能だろう。
さて、世界保健機関(WHO)憲章では「健康」は、「肉体的にも、精神的にも、社会的にも、すべてが満たされた状態」と定義されている。
《Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity. 》
ここにあるのは、「健康」は「未病」とも違うということだ。いまや、「元気あっての物種」の時代。この具現化を促進するためには、さらに多くのビジネスチャンスが宿っているに違いない。
『チェーンストアエイジ』誌2014年10月15日号