ドンキホーテホールディングス(東京都/大原孝治社長)は、2014年6月期の決算を発表した。
売上高は6124億2400万円(対前期比7.7%増)、営業利益は342億9200万円(同5.9%増)、経常利益は354億8700万円(同6.9%増)、当期純利益は214億7100万円(同1.6%増)と4期連続過去最高益を更新した。
売上高と営業利益に至っては、1989年の創業以来、25期連続の増収増益。
「日本に上場企業は約3500社が存在するが、20期連続クラスで増収増益を繰り返しているのはニトリ(北海道/似鳥昭雄社長)さんの27期、当社の25期、サンドラッグ(東京都/赤尾主哉社長)さんの20期連続くらい」と高橋光夫専務取締役兼CFO(最高財務責任者)は胸を張る。
8月26日に開かれた説明会(@東京商工会議所)に出席して考えたのは、ドン・キホーテの好調を支えているのは、“手数の多さ”にあるのでは、ということだ。
たとえば、決算発表会の場でも、配布された資料は、「決算短信」、「決算業績説明資料」だけではない。
① 「外客全品免税を活かす2015年6月期インバウンド戦略」(2014年8月26日付)
② 「学生が経営する『ドン・キホーテ』オープン!」(2014年8月26日付)
③ 「ドンキオリジナルエナジードリンク 『BLACKOUT GOD』降臨。」(2014年8月26日付)
④ 「『YOKOSO! JAPAN PASS』運用開始」(2014年8月8日付)
⑤ 「『新宿ショッピング・キャンペーン』実施のご案内」(2014年8月5日付)
と、それ以外に実に5点もあった。
とにかく新しい何かを出し続けることに意味がある、という強い意思を感じる。
もちろん、手数が多ければ、当たらないものも出てくるだろう。
そんな時は気にすることなく、すぐにやめてしまう。
実際、安田隆夫会長兼CEO(最高経営責任者)の肝入りで開発した「情熱空間」という名のコンビニエンスストアは、数店舗を出したものの、うまくいかないと判断した時点で即撤退した。
よくよく考えてみれば、安田隆夫会長は、元ボクサー。ボクサーにとって手数は命。勝敗が判定に持ち込まれた時のことまで考えれば、たとえ当たらなくても、パンチは繰り出すことに意味がある。
良い企画はたくさん出るけれども、精査して逡巡してやめてしまう企業や組織が多い中にあって、ドン・キホーテは、手数を多くすることに勝機があることを認識し、実践しているように見える。