『人間関係に必要な知恵はすべて類人猿に学んだ』(名越康文&Team Gather Project:夜間飛行出版刊)を読んだ。
この本の中では、GATHER(Great Apes Teach Eternal Relationships)(類人猿が人間関係を教えてくれる)という手法を用いて、人間を以下の4つのタイプに分ける。
① 職人気質のオランウータンタイプ
② 平和主義の安定志向ゴリラタイプ
③ 勝ち負け重視の積極派チンパンジータイプ
④ 空気が読める話好きボノボタイプ
500万年前に枝分かれしていった大型類人猿は、それぞれに独自の生態を持ち、互いに交流することはなく、同じタイプ同士が集まって生活をしている。
だが、人間社会では、4つのタイプが1つの社会を形成しているという仮説のもと論が展開されていく。
その結果、何が言えるのかといえば、あるタイプの特有の行動傾向は、人間社会においては全体の4分の1にしか理解されないということになる。
すなわち、自分の行動は、大抵、少数意見ということである。
「例えば、10人のうち7人が賛成しているなら、その意見は多数派であり、賛成している人にとっては正しい、当然のものとして捉えられると思います。しかし、GATHERを学んだ人の目からは、同じ状況が違って見える可能性があります。賛成している7人がオランウータンで、反対している3人がそれぞれチンパンジー、ボノボ、ゴリラであったら(中略)その意見は実はオランウータン独特の、少数派であったということになります」(P40)。
自分の感受性が少数派であることを知り、他人が自分に向ける評価も各タイプに基づいたものであることを知ると、他人を許せるようになり、人間関係においても余裕が生じるようになる。
これを、さらに一歩進めると、ビジネスやチームスポーツの局面では、人員構成を決める際などにも転用することができる。
人間を4分類すること自体無理がある、とのご意見もあるだろうが、こうした考え方や視点は、私にとっては新鮮かつ斬新であり、目からいくつものウロコが落ちた。