このところ製造業や卸売業の秋冬新商品展示会に招かれる機会が多い。
日本の食マーケットの新しいトレンドとして各社が取り上げ、取り組んでいるのが「消費者嗜好の多様化」だ。「1人10色」ということはもちろんのこと。「簡便」「大容量」「安全、安心」「個食」「小容量」「プレミアム」「ヘルシー」「ベーシック」といった具合に、相反したり、次元の異なる志向や価値観が混在する時代になっている。
2014年7月8日から10日までの3日間、三菱食品(東京都/井上彪社長)は「三菱食品ダイヤモンドフェア2014」を開催した。展示の中では、消費者を10のセグメントに分類し、対策を提案していた。
製造小売化に拍車が掛かる小売業にとってはとても参考になるので、以下に記したい。
A:シニア簡便
(特徴)
・子供が巣立った、あるいは同居の親の世代が多い
・健康を考え、なるべく国産の魚や肉を購入するようにしている
・簡単につくれる麺類が多く、特にスパゲッティ等を購入
・1人当たり金額 高
・1回当たり購入個数 高
・1品単価 中
・好み 「定番品」「個食or小容量」「安全・安心」「こだわり」
B:ヤング単身惣菜派
(特徴)
・働く単身女性と単身男性(単身赴任含む)が多い
・仕事帰りにコンビニで買うような朝食用の健康系食品を購入
・特に黒酢飲料・豆乳等を購入
・1人当たり金額 低
・1回当たり購入個数 低
・1品単価 低
・好み 「健康」
C:シニア単身惣菜派
(特徴)
・比較的ゆとりのあるシニアが多い
・寿司やうなぎ、天丼等の惣菜を購入
・「良いもの」「美しいもの」は金額をあまり気にせず購入
・1人当たり金額 低
・1回当たり購入個数 低
・1品単価 中
・好み 「定番品」「個色or小容量」「健康」「簡便」
D:ミドルお得大好き
(特徴)
・子育て中の主婦とその親世代が多い
・チラシや携帯電話の特売情報をしっかりと見て、特売品を上手に購入する
・節約のためひき肉や豚肉等を購入
・1人当たり金額 低
・1回当たり購入個数 高
・1品単価 低
・好み 「PB」「大容量」「安全・安心」「こだわり」
E:シニア伝統的シニア
(特徴)
・孫がいる人が多く、週末には奮発して買い物、アクティブに動いている
・子供や孫が来た時には、帰りに果物などを持たせることも
・普段は手づくりを心がけ、生鮮品を購入
・1人当たり金額 高
・1回当たり購入個数 高
・1品単価 高
・好み 「PB」「大容量」
F:ミドル惣菜派
(特徴)
・自分の晩酌用、もしくは家族から頼まれたお使いで買い物するお父さんが多い
・安さ優先でPB商品や大容量商品を購入
・週末に夫婦で重たいもの(ビール・缶酎ハイのケース)を購入
・1人当たり金額 低
・1回当たり購入個数 低
・1品単価 高
・好み 「大容量」「PB(低価格)」
G:ミドル有職簡便主婦
(特徴)
・共働きで忙しく働く主婦が多い
・冷凍食品をうまく活用しており、子供は小学生から高校生くらいの年齢
・その他、インスタント食品や精肉、お菓子を購入
・1人当たり金額 低
・1回当たり購入個数 中
・1品単価 低
・好み 「定番品」「個色or小容量」
H:ヤングこだわり派
(特徴)
・男性が多く、一人暮らしでも寂しいわけではなく、自由に過ごしている
・外食が多いが、そうでない時の食事には、こだわりのお酒等を購入する
・気休めと思いつつ、健康のため青汁やマルチビタミンを購入
・1人当たり金額 低
・1回当たり購入個数 低
・1品単価 中
・好み 「健康」「PB(こだわり)」
I:シニア手づくりこだわり
(特徴)
・所得が比較的高い人が多く、こだわりを持った買い物をし、料理にも自信がある
・健康に敏感でお金にも余裕があるため、新商品や有機・無添加の商品も購入
・こだわりの乾物や香辛料、スパイス等も購入
・1人当たり金額 低
・1回当たり購入個数 低
・1品単価 高
・好み 「健康」「安全・安心」「PB(こだわり)「こだわり」
J:ヤング嗜好品好き
(特徴)
・都市型でおしゃれな暮らしをしている人が多い
・嗜好品、菓子を中心に購入
・特に嗜好品ではコーヒー、紅茶、日本茶等を購入
・1人当たり金額 低
・1回当たり購入個数 低
・1品単価 中
・好み 「健康」「PB(こだわり)」